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PFM個人財務管理

1.PFMとは

PFMとは、Personal Financial Management(パーソナル・ファイナンシャル・マネジメント)の略で、「個人的な資産管理」を意味します。

たとえば、個人が銀行預金や証券・クレジットカード・保険など多数の金融機関に保有する口座の残高や預け入れ・引き出しなどの情報を一元管理したり、金融機関が顧客に金融商品や金利に関する情報を提供したりするサービスです。

2.PFMのサービス内容

PFMが流行したのは、スマートフォン(スマホ)の普及が大きな要因になっています。一つは、PFMのアプリを気軽に使えるようになったこと、2つ目はスマホの内蔵カメラの発達です。

レシートをスマホで撮影し、OCRという技術でテキストを抜き出せるようになりました。PFMでは、そのテキストデータから買い物や電気・ガス料金まで自動識別してカテゴリーに振り分けるところまで自動化できるようになったのです。

代表的なPFMサービスは、2つあります。

(1)家計簿アプリ

レシートをスマホ・アプリで読み取り、項目や店舗を家計簿に反映させるサービスです。国内の家計簿アプリでは、「マネーフォワード」、「ザイム」、「マネーツリー」などが有名です。

PCやオンラインで作成できる家計簿は、新しいアイデアではありません。しかし、データの作成が自動化され、スマホで簡単にできるようになったことで、利便性が格段に高まりました。

毎月の収入を入力し、食費や住宅費などの支出項目を記載することで、毎月の収支が自動的に計算されます。これまでの家計簿でも行っていたことですが、PFMを使うことによって、「将来に備えいくら貯める必要があるのか」、「どの支出を減らせばいいのか」といった実際の問題の解決まで判断することができるようになったのです。

これまで、家計簿を続けるには強い意志が必要でした。しかし、家計簿アプリはスマホで簡単にできるので、ずぼらな人でも継続できます。とくに、お金を貯めていきたい人や個人事業主には便利なサービスといえるでしょう。

(2)アカウント・アグリゲーションサービス

アカウント・アグリゲーションサービスとは、顧客がいくつかの金融機関と取引をしている場合、複数の口座を一つのサービスで一元的に管理するサービスです。

資産をすべて一つにまとめている人はまずいないでしょう。たとえば、以下のような複数の金融機関と取引しているのが通常です。

1.銀行
2.証券会社
3.保険会社
4.クレジットカード会社

銀行もメインバンクに加えてネット銀行で口座を持っている人も多いです。また、どんなに銀行を信頼している人でも、資産を持っている人は複数の金融機関に分けて預けています。1,000万円までしかペイオフ(破綻時の預金の保全)の対象にならないからです。

このように複数の金融機関を利用することによって、以下のような問題が生じます。

1.自分の資産が合計でいくらあるのかわからない
2.カードや電子マネーの利用額が不明

しかし、アカウントアグリゲーションを利用すれば、アプリ一つで簡単に解決できます。通帳やカードの利用明細を見ながら入力する必要はなく、自動的にデータが送られてくるからです。

アカウントアグリゲーションには、損益や目標金額の達成状況を簡単に把握できるケースもあります。

銀行口座やクレジットカードのログイン情報を入力すると、自分の資産に関するさまざまなデータがでてきます。顧客は、資産残高や収入・支出に関する状況をきめ細かく管理できるのです。

最近は、資産を全体で把握して管理する時代です。投資する際も、自分の資産全体で考え、株式や投資信託の比率をどうするかというアセットアロケーション(資産配分)が個人の資産形成にも必要になっています。

また、リコメンデーション(顧客ごとの情報サービス)機能によって、キャンペーン情報や有利な金利を提供するサービスが行われています。

3.PFMサービスの事例

(1)海外のPFMサービス

海外でのPFMサービスは1990年代後半から始まりました。米国では2000年代初頭に、シティバンクやバンク・オブ・アメリカなどの大手銀行が複数の口座情報を画面上でまとめて表示するポータルサービスの提供を開始。

最近は、退職や住宅購入などライフイベントでの支出に向けた資産形成支援や税金の支払いなど、顧客の目的に対応したサービスをスマートフォンで提供するのが主流です。

特に、ベンチャーの台頭が著しく、さまざまなサービスが提供されています。それでは、海外の主なPFMを紹介します。

①Mint(米)

出典:Mint

2007年に誕生したPFMの草分け的存在です。2009年にIntuit(インテュイット)が買収して話題になりました。Mintでは、顧客が銀行口座やクレジットカードの情報を入力すると、自動で利用額や残高などのデータを集め、収入や支出を1カ所で管理できます。

さらに、残高が足りない場合はアラートを受け取ったり、支払実績に応じてオススメのクレジットカードが紹介されたりします。とくにユーザーエクスペリエンス(サービスを通して利用者が得られる体験)にこだわっていて、使いやすいように工夫されたデザインです。

②Ondot(米)

出典:Ondot

Ondotは、クレジットカードの管理サービスを提供。顧客はスマートフォンでクレジットカードの利用状況の把握をできるだけでなく、映画など娯楽関連のものには使えないなど、利用できる店舗や商品・サービスの設定ができます。

また、クレジットカードの紛失や盗難時に不正利用ができないよう、自動利用停止の設定が可能です。

③GoNow(米)

GoNowは、顧客が持つすべての磁気カード(クレジットカード等)の情報をスマホ上で1枚のカードに集約して利用・管理できるサービスを提供しています。

④Qapital(米)

出典:Qapital

2013年にスウェーデンでリリースされたPFMダッシュボードが始まり。2015年にスマートフォン専用アプリとして米国でリリースされました。生活の中の行動で貯金を行うことができます。たとえば、ランニングをするたびにマラソン資金として自動貯蓄するといったルールを決めたり、雨が降ったら貯金したりするなど楽しみながら貯金ができます。

仕組みは単純に見えますが、行動経済学にもとづくデータベースとゲーミフィケーション(ゲーム化)したツールを駆使。貯金目標を家族や友人とシェアできるため、競争心をもちながら貯金できるのです。

⑤HomePay(シンガポール)

2015年にシンガポールでリリースされた家族向けのPFMサービスです。ターゲットは30~55歳の子供を持つ親世代。子供向けの送金・支出管理システム、親向けの家計管理支援サービスを提供しています。

モバイル決済とSNSを利用して、家庭のキャッシュレス化の実現を目指しています。

(2)国内のPFMサービス

①マネーフォワード

マネーフォワードは、ユーザーに家計簿を構築できるアプリを提供。銀行やクレジットカード、ECサイトなど2,650以上の金融関連サービスから入出金履歴や残高を取得し、一括管理するアカウントアグリゲーションにより家計簿が作成されます。

食費や光熱費などが自動で分類されるので、ユーザーは支出項目の分類に手間がかかりません。無料で簡単に家計簿を自動作成できるので、地域や年代を問わず幅広い層が利用しています。

2019年2月には、利用者数が750万人を突破。2012年のサービス開始以来、順調に利用者を伸ばしています。

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②Zaim

Zaimは、オンライン家計簿の大手で、主に次の3つの機能があります。

1.レシート撮影で自動入力

レシートからの品目や金額の自動読み取り機能があります。紙のレシートをスマホのカメラで撮影するだけ。お店やカテゴリーも自動的に振り分けられるので、支出管理が楽になりました。

2.銀行やクレジットカードを自動取得

約1,500の金融機関の公式サイトに接続して、入出金の自動取得・分類、履歴表示やクレジットカードの残高表示など、さまざまなサービスを提供しています。支出や収入として反映されるので、入力せずに家計簿の作成が可能です。

3.節約できる分析グラフ

入出金の履歴を残すだけでなく、円グラフや棒グラフなどさまざまな分析が用意されています。また、住宅や自動車などのローン借換えや繰り上げ返上した場合の利息総額、保険見直し時などのシミュレーションに使えるサービスも提供しています。

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③TORANOTEC

TORANOTECでは、おつり投資アプリ「トラノコ」を提供。クレジットカードやデビットカード、公共交通機関の乗車カードなどからユーザーの支出額を計算し、そのおつり相当分を投資に回すことができる自動投資サービスです。

「おつり相当分」とは、100円単位で計算される端数。たとえば、380円の買い物をした場合、400円との差額である20円がおつり相当額です。

TORANOTEC投信投資顧問により運用される3つのファンド(安定重視、バランス重視、リターン重視)から1つ選ぶだけで世界中の株式や債券、不動産など幅広い資産に分散投資できます。

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4.PFMの優越は集めたデータで決まる

ユーザーを順調に伸ばしているPFMサービスですが、ある程度の規模になるとユーザーを増やしにくくなります。そこで、集めたデータを活かしたビジネスが進められています。

これまで、銀行やクレジットカード会社などの金融機関は、ユーザーが自社の口座以外にどの程度お金を持っているのか、他社でどのような取引をしているのかわかりませんでした。

PFM側では複数の金融機関の口座管理をしているので、ユーザーのデータを持っています。それらの情報は、金融機関にとっては喉から手がでるほど欲しい情報です。たとえば、銀行が融資をするときの与信判断材料にすることができます。

今後は、PFMで集めたデータを金融機関側にどのように提供していくかとうビジネスモデルの構築の優越が勝負になっていくでしょう。

そこで、重要になるのがAPIの活用です。APIとは、あるシステムで管理するデータなどを外部のプログラムから呼び出して使用する手順を定めた規約です。

PFMの多くは、ユーザーがインターネットバンキングなどのIDやパスワードを登録し、フィンテック企業が代理ログインするため、さまざまな問題が指摘されています。たとえば、IDやパスワードの漏えいリスク、第3者による情報の不正取得や資金移動といったセキュリティリスクです。

PFM側でも、金融機関のWebサイトに仕様変更があるとメンテナンス作業が必要になることや、サービスが一時停止になってしまうなどの利便性低下の恐れがあります。

APIの活用として、2016年にNTTデータがPFMを提供するフィンテックベンチャーに金融機関をつなぐAPI連携サービスを静岡銀行に対して提供したケースがあります。

出典:NTTデータ

これは、NTTデータが金融機関に提供する共同利用型の個人向けインターネットバンキングサービス「AnserParaSOL」とマネーフォワード、freeeとの連携によるものです。

まず、静岡銀行でマネーフォワードの自動家計簿・資産管理サービスへの対応を行いました。その結果、静岡銀行の顧客はマネーフォワードを利用する際、ネットバンキングのIDとパスワードを事前に登録することなく、入出金データや口座残高を自動取得できるようになったのです。

PFM事業者にとっては、各金融機関に合わせた個別開発の負担を軽減することができるとともに、セキュリティーの向上が見込めます。また、APIはPFMだけでなく、企業の会計処理への利用など幅広い分野での活用が可能です。

APIを活用することにより、PFM事業者は金融機関から簡単に口座情報や取引情報を取得できます。サービスの充実のために、今後もAPIの利用は広がっていくでしょう。

5.まとめ

フィンテックの中でもPFMは代表的なサービスです。あらゆる金融機関の口座を一元管理できるPFMは大変便利です。

これまでは、「進化した家計簿」として成長してきましたが、今後は資産運用や保険・不動産など他の領域にも広がり、総合的な資産管理ツールとしての利用が広がっていくでしょう。