FinTechの分類

FinTechの分類

FinTechは、金融サービスの様々な領域に進出しています。株式会社矢野経済研究所の調査によると、FinTech系ベンチャー企業の国内市場規模は2017年に1兆円を突破。2021年には、1兆8590億円まで成長すると予測されています。(前記事参照

Fintechは急速に拡大しているため、業界情勢を一枚であらわすカオスマップは、常に最新のものをチェックしておきたいところです。カオスマップでは、最新FinTechサービスを11種類に分類されています。ここでは、各カテゴリにおける最新の動向について簡単に説明します。

出典:MAStand

(1)PFM個人財務管理

個人向けに、複数金融機関を跨ぐ資金を一元的に管理できるサービス(PFMサービス)や、デビットカード発行等の銀行関連業務を提供するバーチャルバンク(銀行代理業)、銀行とFinTechを接続する銀行APIを提供するサービスなどが出現しています。

家計簿アプリのようにお金の管理を手助けしてくれるソフトのことを言います。

最初の口座登録を行えば、その後は自動で資産状況や収入・支出などをアプリで確認することができるのです。個人のお金の使い方を分析し、改善のサポートもしてくれます。そのため、クレジットカードの使い過ぎや口座残高の不足など、自分自身では気づきにくいところまでチェックしてもらえます。

>>PFM個人財務管理(概要・事例)

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(2)会計・経理

これまで専用の会計ソフトが必要でしたが、クラウド型のサービスが普及し始めています。煩雑な入力業務を補佐するツールだけはなく、経営状況を分析するレポートも出力が可能です。

経理業務を効率化することで、人件費の削減にも繋がりますし、経営判断の迅速化も可能となります。簿記や会計の知識がなくても簡単に経理・決算をすることができるソフトが誕生しましたが、使用方法が分からない場合もチャットサポートが用意されているため、気軽に相談することができます。

また、会計以外でも、人事給与、経費精算など企業のバックオフィス業務をトータルにサポートするサービスも誕生しています。

>>会計・経理(概要・事例)

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(3)融資・ローン

オンライン上で完結できる融資が誕生しており、審査のスピードも速く、新たな形の資金調達として注目を集めています。

また、資金ニーズを有する個人・事業者と投資家を直接結びつけるP2P融資(マーケットプレイス融資)、取引データを使って迅速に与信判断を行うビッグデータ融資などが出現しています。これらの新しい融資・資金調達方法を総括して、「オルタネイティブ融資」と呼ぶ場合もあります。

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(4) 送金・決済サービス

国際間での送金が便利になるサービスも存在します。従来の国際送金は、手数料が発生して決済には時間が必要でした。

しかし、オンライン上で送金が完了するサービスを利用することで手数料を抑えられ、即時に国際送金ができるようになったのです。為替レートが有利なタイミングでの送金も可能となりました。グローバル化が進行しており、海外支社や海外の取引先との送金機械も増える中、FinTechによる送金・決済サービスは、フィンテック分野の中でも最も成長度が高く、利用価値が高まっています。

>>送金・決済サービス(概要・事例)

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(5)個人資産運用

ビッグデータ技術を活用して個人向の資産運用支援やポートフォリオ管理を自動で行うロボアドバイザーのほか、オンライン上でファイナンシャルプラン立案を支援するオンラインFP、ソーシャルサービスと連携した資産運用サービスなどが出現しています。

スマホの専用のアプリをダウンロードするだけで、口座開設から入金、株取引まですべてを行えるため、非常に手軽に個人資産運用ができるようになりました。

>>資産運用/投資(概要・事例)

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(6)セキュリティ

FinTech企業が成長するにつれて、電子決済の取引が頻繁に行われるようになりました。

電子決済と同時に必ず話題に上がるのがセキュリティ面です。決済に関わる安心を支える技術も高度なものとなり、生体認証などの新たな本人確認方法も登場しました。また、ビッグデータやAIを活用した機械学習によって、ハッキングのパターンを解析して、不正なアクセスを未然に検知することができるクラウド型不正アクセス検知サービスも登場しています。

進化し続けるサイバー攻撃にも対応するため、大きな注目を集めています。

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FraudAlert / BankGuard / capy / LIQUID

(7) 保険

フィンテックの応用技術は、保険業界にも及んでいます。

とくに保険業界のテクノロジー化のことは、Insurance(保険)とTechnology(技術)を組み合わせて、InsurTechとも呼ばれています。スマートフォンの普及やウェアラブル端末の誕生によって、人々の生活の記録情報(ライフログ)を低コストで収集できるようになりました。

これらの情報を一般的にビッグデータと呼びます。このビッグデータを活用することによって、特定の出来事が起こる確率を正確に求めることができるようになりました。

保険会社はビッグデータを活用して、その人に見合うサービスを提供し、優れた顧客に対しては、保険料を安くするなどのサービスが出現しつつあります。また、オンラインで保険比較やダイレクト販売を行うEアグリゲーターが普及し始めています。

>>保険(概要・事例)

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(9) 仮想通貨

仮想通貨とは、紙幣や効果ではなく、実体が存在しないインターネット上で使用できる通貨のことで、海外では暗号通貨と呼ばれます。

仮想通貨は電子データですが、インターネット上のサービスの決済に使用できるだけに留まらず、実際に実店舗で商品を購入することも可能です。そのため、電子マネーと区別が付きにくくなっています。

しかし、国が発行・管理し責任を持つ「中央集権型通貨」に対し、仮想通貨は発行主体が存在せず、プログラムに従って、発行・管理されているため「分散型通貨」とも呼ばれています。仮想通貨には、信頼を担保する発行主体がないため、それを補うための仕組みが実装されています。

2019年度から、大手企業も決済手段として採用する動きが拡がりつつあります。

>>仮想通貨・ブロックチェーン(概要・事例)

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(10)クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、プロジェクトに賛同して資金提供してくれる人をオンライン上で募り資金調達をすることをいいます。

寺社への寄進などに見られるように、大勢の人から少しずつお金を集めるという考え方は昔からありましたが、ネット上でのコミュニケーションが普及していき、オンライン上での資金調達が後押しされました。

クラウドファンディングは2000年代後半から米国で盛んになり、日本では2011年の東日本大震災が契機となりました。

支援したお金がどのように使用されているのかが分かること、少ない金額から気軽に支援できることなど、必要な資金を集めるために大きな役割を果たすため、大きな注目を集めるようになりました。クラウドファンディングには「購入型」「寄付型」「投資型」などのタイプがあります。

>>クラウドファンディング(概要・事例)

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Ready for / CAMPFIRE / kibidango / JAPANGIVING / MOTION GALLERY / GREEN / Makuake / FAAVO

(11)ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングとは、クラウドファンディングの一種で、融資型クラウドファンディングとも呼ばれています。

ソーシャルレンディングでは、不特定多数の出資者から集めた資金を借り手に融資して、出資をした投資家に対して利息を付けて資金を返済する仕組みとなります。日本初となるソーシャルレンディングサービスは、2008年にスタートしたmaneoです。

maneoでは、2018年4月までに約1170億円の企業への融資を成功させていて、日本の新しい資金調達の形を創りあげました。ソーシャルレンディングは、1万円から投資ができるため、個人で少額から投資を始めたいというお考えの方を中心に拡がりつつあります。

>>ソーシャルレンディング(概要・事例)

【フィンテック企業 一覧】
SBI Social Lending / maneo / Crowd Bank / funds / Croudcredit / NEXT SHIFT FUND / LC LENDING / OwnerBook / Crowd Lease

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