
最近、ビットコインが激しく値上がりをしているので、これからビットコインを使ってみたい、という方がおられるでしょう。
ビットコインは「仮想通貨」の1種ですが、
仮想通貨の購入や売買をするときには「仮想通貨交換業者」を利用する必要があります。
きちんと登録を受けた仮想通貨交換業者を利用しないと、支払ったお金やビットコインが返ってこなくなるおそれもあるので、要注意です。
今回は、無登録の仮想通貨業者を利用する危険性や、仮想通貨業者が倒産するリスク、登録業者の一覧と認定されている仮想通貨の一覧である「ホワイトリスト」について、解説します。
目次
通貨を購入・売却する方法
ビットコインなどの仮想通貨を買ったり売ったりしたいとき、どのようにして購入すべきかご存知でしょうか?
この場合、「仮想通貨交換業者」を利用しなければなりません。
仮想通貨交換業者とは、
仮想通貨を売ったり買ったり、または他の仮想通貨と交換したりすることを業としている会社です。
法律では、仮想通貨の取引をすることができるのは、きちんと認定を受けた仮想通貨交換業者だけであると規定しています(資金決済法63条の2)。
無登録で仮想通貨の交換業を行うことは違法ですから、利用者の方も、そうした違法業者を使わないように注意しなければなりません。
ただ、個人から単発で仮想通貨を購入したり、個人に売却したりするときには、仮想通貨交換業の登録は要りません。
そこで、友人や親兄弟などとの間で仮想通貨のやり取りをすることは、基本的に自由です。
無登録で営業している業者を使うリスク
このように、仮想通貨の取引を仲介するときには、基本的に仮想通貨交換業の登録が必要です。
しかし、中には、無登録で営業を行っている違法業者もあります。
もし、そのような無登録の仮想通貨業者を利用してしまった場合、利用者にはどのようなリスクが発生するのでしょうか?
以下で、リスクを確認しましょう。
お金をだまし取られる可能性がある
まずは、払い込んだお金をだまし取られる危険があります。
無登録の業者が、顧客に対して「ビットコインと現金を交換します」などと説明し、顧客がお金を振り込んだら、お金を持ち逃げされて、連絡が取れなくなってしまうパターンなどです。
一人の顧客だけではなく、数十人、数百人以上の顧客を集めて莫大なお金を集めて、逃げてしまう悪質業者もいます。
そのようなことになってしまったら、お金を取り戻すことが困難になる場合も多いので、当初から騙されないように注意が必要です。
きちんと資産管理されていない
無登録の仮想通貨業者では、預けた資産がきちんと管理されないおそれが高いです。
たとえば、複数の顧客から預かっているビットコインがごちゃごちゃに管理されていて、誰がどれだけ預けているかがわからなくなるおそれもありますし、社内できちんと帳簿が作成されていないので、ビットコインの残高やこれまでの取引履歴などが不明になってしまうこともあります。
そのようなことになると、最終的に預けたお金が返ってこなくなってしまったり、他の顧客との間でトラブルが発生したりするおそれもあります。
きちんと仮想通貨交換業の登録をした業者であれば、適正に財産管理を行い、帳簿もしっかりつけるべき義務を課されるので、このような心配はありません。
情報が漏えいされる危険がある
無登録の業者を利用すると、重要な個人情報を漏えいされるおそれがあります。
たとえば、ビットコインをどれだけ買ったのか、資産をどれだけ預けているのかなどの情報とともに、氏名や住所、電話番号やメールアドレスなどを漏らされる可能性があります。
すると、それを見た悪徳業者がいろいろな投資の誘いなどをしてきて、被害を受けてしまうことも考えられます。
きちんと仮想通貨交換業の登録をした業者であれば、預かった情報を適切に管理すべき義務を負っているので、このような危険はありません。
倒産したときに、お金が返ってこない
無登録の仮想通貨業者を利用すると、その業者が倒産したときに、預けていたお金が返ってこないリスクが非常に高くなります。
無登録の業者の場合、利用者から預かったお金やビットコインと、業者自身の財産を分けて管理していません。そこで、業者の経営が苦しくなったら、利用者から預かっているお金を使い込んでしまう可能性が高いのです。
過去にマウントゴックスというビットコインを取り扱っている会社が倒産したときも、多くの利用者は、預けていたお金が返ってこなくなって大変な損失を被りました。
コインチェックのハッキング時も、コインチェックユーザーが不安な思いをしたのはよく知られていますね。
これに対し、適正な仮想通貨交換業者の場合、自社のお金と利用者のお金を、きちんと分けて管理しています。資金決済法上、そのような義務を負っているからです。
そこで、万一業者が倒産しても、預けていたお金はきちんと戻ってくる可能性が高くなります。
以上のように、仮想通貨の取引をするとき、無登録の業者を利用するとリスクが非常に高いです。ビットコイン取引を始めるなら、必ず「仮想通貨登録業」の登録を受けた、正規の業者を利用しなければなりません。
登録業者と無登録業者の見分け方
それでは、きちんと仮想通貨交換業の登録を受けた業者と、登録を受けていない業者とは、どのようにして区別すれば良いのでしょうか?
もっとも確実なのは、登録業者を把握しておくことです。
登録業者は金融庁により、随時仮想通貨登録業者の一覧が発表されています。
それを見ると、平成29年10月2日現在における登録業者は、以下の通りとなっています。
登録業者名と取扱いコイン一覧
株式会社マネーパートナーズ
取扱いコインはBTC(ビットコイン)
QUOINE株式会社
取引所名はQUOINEX
取扱いコインはETH(イーサリアム)とBCH(ビットコインキャッシュ)
株式会社bitFlyer
取引所名はbitFlyer
取扱いコインはBTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、ETC(イーサリアムクラシック)、LTC(ライトコ イン)、BCH(ビットコインキャッシュ)
ビットバンク株式会社
取引所名はbitbank.cc、bitbank trade
取扱いコインはBTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、MONA(モナコイン)、BCC(ビットコインキャッシュ)
SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社
取扱いコインはBTC(ビットコイン)
GMOコイン株式会社
取引所名はGMOコイン
取扱いコインはBTC(ビットコイン)
ビットトレード株式会社
取引所名はBitTrade
取扱いコインはBTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、MONA(モナコイン)、BCC(ビットコインキャッシュ)、
BTCボックス株式会社
取引所名はBTCBOX
取扱いコインはBTC(ビットコイン)、BCC(ビットコインキャッ シュ)
株式会社ビットポイントジャパン
取引所名はBITPoint
取扱いコインはBTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、BCC(ビッ トコインキャッシュ)
株式会社フィスコ仮想通貨取引所
取引所名はフィスコ(FISCO)
取扱いコインはBTC(ビットコイン)、MONA(モナコイン)、FSCC(フィスココイン)、NCXC(ネクスコイン)、CICC(カイカコイン)、BCH(ビットコインキャッ シュ)
テックビューロ株式会社
取引所名はZaif
取扱いコインはBTC(ビットコイン)、MONA(モナコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、XCP(カウン ターパーティー)、ZAIF(ザイフ)、BCY(ビット クリスタル)、SJCX(ストレージコインエックス)、PEPECASH(ぺぺキャッシュ)、FSCC(フィスココイン)、CICC(カイカコイン)、NCXC(ネクス コイン)、Zen(ゼン)、XEM(ゼム(ネム)
以上の11社となります。
未登録のみなし登録業者について
ただし、上記の11社以外にも、適法に仮想通貨交換業を行っている業者があります。
それは、もともと仮想通貨の取扱いを行っていて、現在財務局に対し、仮想通貨交換業の登録申請中の会社です。これらの会社については、登録拒否されるまでの間は、登録業者とみなされて、適法に営業することができます。
たとえば、「コインチェック」や「みんなのビットコイン」などの取引所運営会社は、現在登録申請中なので、こういった取引所は適法に利用することができます。
登録番号
正規の業者か無登録の業者かについては、「登録番号」を確認する方法によっても見分けることができます。
正式に仮想通貨交換業の登録をした業者には、仮想通貨交換業者としての登録番号が与えられます。そこで、業者を利用するときに、そうした番号の通知や掲載がない場合には、違法業者である可能性が高くなります。
説明の有無や内容
仮想通貨交換業者は、利用者と取引を開始するとき、さまざまな説明義務を負います。
法律では、以下のようなことを説明すべきとされています。
- 仮想通貨交換業者の商号と住所
- その業者が、仮想通貨交換業者であることと、仮想通貨交換業者の登録番号
- 取引の内容
- 仮想通貨の概要
- 損失が発生するリスク
- 財産管理方法や利用する銀行の名称
そこで、たとえば業者の登録番号や取引内容、仮想通貨のリスク、利用する銀行などについて、きちんと説明をしない業者は、違法業者である可能性が高くなります。
当初の取引開始の際に、相手の説明内容や対応を見て、怪しいと思ったら利用しないことが大切です。
ホワイトリストとは
ホワイトリストは、認定された仮想通貨
次に、「ホワイトリスト」についても、押さえておきましょう。
「ホワイトリスト」というのは、認定資金決済事業者協会が「適正である」と認定した仮想通貨のことです。
認定資金決済事業者協会というのは、金融庁から認定を受けた、仮想通貨の業界団体のことです。
平成29年10月13日現在、認定資金決済事業者協会とされているのは、「社団法人日本資金決済業協会」です。今のホワイトリストを定めたのも、この団体です。
また、ホワイトリストというのはわかりやすくした俗称であり、
正式名称は、「登録事業者が取り扱うに相応しい仮想通貨のリスト」です。
ホワイトリストを作成した理由
それでは、どうしてホワイトリストが作成されたのでしょうか?
仮想通貨は、ビットコイン以外にもさまざまなものがあります。
中には、ほとんど流通していないものや交換価値のないもの、今後すぐに消えてしまうかもしれないものなども含まれています。このような細かい仮想通貨の取引を認めてしまうと、損失を受ける利用者が出てくる可能性があります。
こうした不都合を避けるためには、信頼できる仮想通貨と信頼できない仮想通貨を選り分ける必要があります。そこで、政府から承認された仮想通貨の専門団体である「認定資金決済事業者協会」が「このコインであれば、仮想通貨として認めても大丈夫」とお墨付きを与えたものが、ホワイトリストに載っているコインです。
今後、日本の仮想通貨交換業者は、基本的に、ホワイトリストに載っているコインしか取り扱いません。ホワイトリスト入りしていないコインをもっていても、国内では取引ができなくなる可能性が高いです。
ホワイトリストに入っている仮想通貨一覧
現在、ホワイトリストに入っている仮想通貨は、以下の通りです。
- BTC(ビットコイン)
- BCH/BCC(ビットコインキャッシュ)
- ETH(イーサリアム)
- ETC(イーサリアムクラシック)
- LTC(ライトコイン)
- XRP(リップル)
- MONA(モナコイン)
- XEM(ゼム(ネム)
- FSCC(フィスココイン)
- NCXC(ネクスコイン)
- CICC(カイカコイン)
- XCP(カウンターパーティー)
- ZAIF(ザイフ)
- BCY(ビットクリスタル)
- SJCX(ストレージコインエックス)
- PEPECASH(ぺぺキャッシュ)
- Zen(ゼン)
いずれも、上記でご紹介した仮想通貨交換業者が取り扱っているコインです。
今後、上記以外のマイナーなコインを持っていても、日本国内では換金性がほぼなくなってしまう可能性が高いので、購入するときには、リスクを理解した上で取引しましょう。
リストに入っていない仮想通貨の取扱いについて
先に説明をした通り、ホワイトリストに入っていない仮想通貨については、国内で取引することが難しくなります。ただし、外国の仮想通貨取引所で取扱いがあれば、外国の取引所を通じた取引は可能です。
また、今後の状況の変化により、認定資金決済事業者協会が、新たに「適正な仮想通貨である」と認めた場合には、その仮想通貨を新たにホワイトリスト入りさせる可能性もあります。
以上のように、仮想通貨の取引業を行えるのは、仮想通貨交換業者のみです。
無登録の業者を利用すると、非常に危険性が高いので、絶対に利用しないように注意しましょう。
また、日本国内で流通する可能性があるのは、上記に挙げたホワイトリストに入っているもののみとなります。それ以外の仮想通貨は、日本国内ではほとんど無価値になってしまう可能性があるので、注意が必要です。
今回の記事を参考にして、リスクを抑えて安全に仮想通貨の取引をしましょう。