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AIによる資産形成、ロボアドバイザーの活用方法

AIが投資運用のトレンドへ

IT技術の進歩は投資運用においても大きな影響を及ぼしている。

ウォール街の雄であるゴールドマンサックスのCFO(最高財務責任者)マーティ・チャベスは「4人のトレーダーは1人のコンピューターエンジニアに代替可能である」と述べている。現在、ゴールドマンサックスの9000名いる社員のうち3000名はコンピューターエンジニアとなっており、今後もAIによる自動化を進めていく見込みだ。

MIT Technology Review/Marty Chavez, Goldman Sachs’s incoming CFO

さらに大手コンサルティング会社A.T.カーニーはロボアドバイザーの資産運用残高は2016年の4兆円から2020年には6倍近い250兆円まで増加すると推計しており、近い将来ロボアドバイザーが投資運用に必要不可欠になる日もくるだろう。(フィンテック革命の衝撃 平凡社より)

日本国内においても大手銀行や証券会社のみならず、独立系の金融サービス会社がロボアドバイザーの導入を始めており、ロボアドバイザーによる投資運用がより身近になりつつあるなど、我々の日常においてもAIによる恩恵が広がりつつある。

ロボアドバイザーのサービスの特徴

それではロボアドバイザーについて説明していこう。現在、ロボアドバイザーのサービスは「アドバイス型」と「投資一任型」のサービスに大きく分けることができる。

アドバイス型サービス

「アドバイス型」のサービスは資産運用に興味があるが、平日に銀行などの資産運用の窓口に行けない人のために誕生したサービスであり、みずほ銀行や三菱UFJ国際投信などの金融機関で活用されている。

アドバイス型サービスを活用することによって、投資信託を購入する際に投信信託の配分選択などを決める指標を持つことができる。アドバイス型については投資運用中のリバランスについては自分で運用する必要があるが、証券口座を開設すれば無料で利用することができ、利用状況に応じてテキストチャットやビデオチャットなどの人によるサポートも受けることができるのが特徴だ。

投資一任型サービス

投資一任型のサービスは独立系の会社がサービスを提供していることが多く、インターネットで運用診断を行い、アドバイス型サービスとは異なり、投資運用もAIのアルゴリズムによって行われる。

投資一任型サービスは各社「スマートフォンによるわかりやすいインターフェイス」、「少額による気軽で簡単な投資」を強調しており、「月額1000円からの積立投資」や「お釣りによる投資運用」などのサービスを提供するなど今まで投資に興味関心がない層をターゲットにしているのが特徴だ。

いずれも投資初心者をターゲットにしたサービスであるが、「アドバイス型」のサービスはある程度の余剰資金がある資産形成層、「投資一任型」のサービスは気軽に投資を始めたい資産形成と対象をする相手は分けられているといえるだろう。

ロボアドバイザーのメリット

アドバイス型のサービスは投資初心者のファンド選びの目安になる。

NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(確定拠出型年金)など投資に対する税制上のメリットがある制度が整ってきた日本社会だが、国民1人1人の投資に対する知識や関心はまだまだ低いといえる。

だがアドバイス型サービスを利用すれば、自分が許容できるリスクや目標とするリターンが明確になるため、投資運用に対する知識がない投資初心者でも、NISAやiDeCoの適切なファンド選びや運用期間中のリバランスが可能になるのである。

投資一任型のサービスはラップ口座よりも手数料が安く、誰もが気軽にサービスが利用ができる。

ラップ口座やファンドラップにおいても投資助言、運用、口座管理のサービスを受けることができたが報酬・手数料は運用金額の1.3~1.6%であり、さらに運用投信の管理費が加わるため年間3%という割高な手数料のサービスであった。

さらに従来のラップ口座は富裕層にのみサービスが可能であり、ラップ口座の下位互換的なサービスであるファンドラップであっても最低預入金が数百万円と誰もが利用できるサービスではなかったのである。

一方、投資一任型のロボアドバイザーでは出入金手数料、投資信託の運用管理費などすべて含めて、預入資産の1%程度という割安な手数料で利用することができる。

またラップ口座やファンドラップは資産がなくては利用できなかったが、投資一任型のロボアドバイザーでは毎月1000円から始めることができるサービスもあり、主婦や大学生でも利用することができるのだ。

長期的な資産運用こそ、ロボアドバイザーを活用すべき。

投資は短期的に予想するのはほぼ不可能ではあるが、長期的に予想をすることはある程度は可能である。

現在、世界は「人口増加」と「科学技術」という二つの要因から今後ますます世界の経済は発展していくことが予想されている。

特に米国は世界中からの資本や優秀な頭脳が集結しており、新しい技術やサービスが誕生する土壌が整っているため、ETFを活用した長期的な投資運用による資産形成は可能といえる。

 

 

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(米国のダウ平均株価市場より)

しかし投資にとって大敵となるのが「人間のバイアス」なのである。長期的に資産運用をしていく中で、バブル的な好景気や金融危機による株価市場の冷え込みも経験することは必ずある。

そうしたときに冷静に市場を見極めて、当初に設定した目標リターンを目指した資産運用をしていける人間はそう多くはないだろう。しかしロボアドバイザーは人の感情を排し、経済市場の過去のデータをもとにアルゴリズムが設定されているため、急激な市場変化にも人間のバイアスなしで対応することが可能なのである。

短期的な市場変化に惑わされることなく、将来的に設定した目標リターンを達成するにはAIによる定量的な運用が大きな役に立つことになるだろう。

無リスク資産に対するAIロボアドバイザーの登場に期待

ロボアドバイザーのAIによる分析はあくまでもリスク資産の運用のみで可能であり、無リスク資産(保険・定期預金)の分析診断するツールは登場していない。

保険業界においてはセールスマンと顧客に対しての知識の非対称性が大きく、販売手法も定量的ではなく定性的な側面が強い。そのため、保障内容よりもセールスマンが販売手数料を目的に提案するケースも存在する。

保険分野にもアドバイス型のロボアドバイザーが導入されるようになったならば、リスク型運用資産と非リスク型運用資産を考慮したポートフォリオになり、より効率の良い資産運用が可能になるだろう。

総論

以前の日本では投資は「資産がある富裕層が行うもの」、「難しくリスクが大きいもの」として倦厭されてきた。

しかしロボアドバイザーサービス提供会社が「手軽さ」、「わかりやすさ」を強調してSNSなどにおいても広告を掲載するようになり、いままで投資に興味がなかった若年層も銀行や証券会社に赴くことなく、スマートフォン一つで気軽に投資を始められるようになってきた。

年金受給の引き下げや年金減額などの可能性が高く、「自己努力による資産形成」の必要性がますます高まることが予想される将来の日本においては、資産形成の心強い味方として今後ますますAIによるロボアドバイザーが市民権を得ていくことになるだろう。