
ビットコインの人気が過熱しており、ビットコインの派生商品にも注目が集まっています。
特に、世界中から熱い視線を浴びているのが、「先物取引」です。
ただ、ビットコインを売買するときには「仮想通貨交換業」の登録が必要です。
日本で一番有名な仮想通貨交換業↓
ビットコインが先物に上場したら、先物取引を行うときにも資金決済法にもとづく「仮想通貨交換業」の登録が必要となるのでしょうか?
今回は、ビットコインの先物取引に対し、資金決済法上の仮想通貨交換業の規制が及ぶか、解説します。
目次
ビットコインの先物上場が実現する予定
ビットコインの人気が過熱するにつれて、さまざまな分野で仮想通貨が取り扱われるようになっています。最近注目されているのが「仮想通貨を原資とした先物取引」です。
ビットコインの先物商品は、現時点においては、主に「OKコイン」などの、中国系の企業が主に取り扱っています。
日本では、「ビットバンクトレード(ビットバンク株式会社)」がドル建ての先物ビットコインを取り扱っています。
また、2017年9月、アメリカの「シカゴ・オプション取引所」という証券取引所の運営会社であるCBOEホールディングスが、年内にビットコインの先物の上場を目指していることを明らかにしました。
同社最高責任者であるジョン・ディタースCSOは、「2017年の10~12月から来年早々に、上場を予定している。」とコメントしています。
「ビットコインは過去5年において50倍に値上がりしており、金や原油の初期と比べても、驚愕のスピードで急成長を続けており、サイバーセキュリティ対策なども発展したので、デリバティブ市場を開設する時期が熟した」、と判断したとのことです。
そして、「資金決済法改正によって仮想通貨の規制にいち早く取り組んだ日本は、重要な市場」とも言っています。
日本はビットコインに対する関心も高いため、今後デリバティブセミナーなどにも積極的に取り組み、日本を始めとした世界中の仮想通貨市場において、デリバティブを広めたい、ということですから、今後はますます、日本でもビットコイン先物投資が過熱してくる可能性があります。
そもそも先物取引とは?
先物取引の基本
次に、先物取引とはどのようなものなのか、簡単にご説明します。
先物取引は、さまざまな金融商品の現在の価格により、将来の売買の契約をすることです。
商品としては、基本的にどのようなものでもかまいません。
そして、先物には「限月」という期限があります。
期限が到来したら、必ず約束していた通り、売却や購入をしないといけません。
たとえば、2ヶ月後に金を1キロ買うと約束していたら、2ヶ月後に、現在の価格で金を1キロ買わなければなりません。
そこで、先物取引を行うときには、先(将来)の価格を読むことが重要となります。「先物取引」と呼ばれる由縁です。
金の価格が上がったら、先物取引で金の購入をしていると得になりますし、金の価格が下がったら、先物取引で金の売却をしていると得になります。
2種類の先物取引
ところで、先物取引には、2種類の決済方法があります。それは、「現物取引」と「差額決済取引」です。
現物取引
1つは、期限が到来したときに、実際にお金と商品のやり取りをする方法です。
たとえば、2ヶ月に金を1キロ買うという契約をしている場合、期限が来たら、実際に金の価格を支払って、金を受け渡してもらいます。
この取引の方法を、現物取引と言います。
差額決済取引
もう1つは、期限が来る前に、反対の売買契約をすることによって決済する方法です。
たとえば、2ヶ月に金を1キロ買う契約をしている場合、期限が来る前に金を1キロ売却します。
すると、金を買ったときの金の時価と金を売ったときの金の時価の差額が発生します。プラスになる場合にはお金を受けとることができますし、マイナスになる場合にはお金を支払わなければなりません。
この場合、実際に商品のやり取りはしません。
そして、このように、反対の取引をすることによって取引を終了させる先物取引の方法のことを、「差額決済取引」と言います。
ビットコインで先物取引をするときに必要な資格とは?
それでは、先物としてビットコインを取り扱うとき、どのような規制が及ぶのでしょうか?
このような場合、金融商品取引法や資金決済法が適用されるのかが問題となります。
金融商品取引法が適用されるなら、金融商品取引業者の登録が必要になりますし、
資金決済法が適用されたら、仮想通貨交換業の登録が必要になります。
金融商品取引法について
ビットコインの取引をする場合、金融商品取引法の規制が及ぶのでしょうか?
証券取引所などで先物商品の取引をするときには、金融商品取引業の登録が必要です。
これに対し、現時点においては、仮想通貨そのものや、仮想通貨のデリバティブ取引(派生取引。先物取引も、これに含まれます)は、金融商品取引法の適用外とされています。
そこで、ビットコインの先物取引にも、金融商品取引法による規制は及びません。
また、商品先物取引法の適用もありません。
資金決済法について
次に、仮想通貨交換業の登録が必要になるのか、検討しましょう。
ビットコインなどの仮想通貨取引に対しては、資金決済法による規制が及ぶので、仮想通貨交換業の登録が必要です。
仮想通貨交換業とは、「業として、不特定多数の人を相手に、ネット上で仮想通貨の売買や交換を行うこと」です。
つまり、不特定多数の人を相手にして、仮想通貨を反復継続して、ネット上で売買したり、他の仮想通貨と交換したりするときには、仮想通貨交換業の登録が必要となります。
無登録で仮想通貨交換業を行うと、罰則も適用されます。
それでは、先物商品としてのビットコインの売買が、「仮想通貨交換業」に該当するのでしょうか?
これについては、先物取引が現物取引か差額決済取引となるのかによって、結論が代わってきます。
現物取引の場合
ビットコインの先物取引が現物取引の場合には、期限が到来したときに、お金の支払いによってビットコインを入手したり、あるいはビットコインを引き渡してお金を払ってもらったりします。
つまり、ビットコインを実際に売買しているのと同じことになります。
そこで、こういった業務を、不特定多数の人相手に反復継続して行う場合には、「仮想通貨交換業」に該当してしまうことになる可能性があります。
先物ビットコインの現物取引を日常的に商売として行う場合には、仮想通貨交換業者として登録しなければならないことになります。
差額決済取引の場合
次に、差額決済取引のケースではどのような取扱いになるのか、見てみましょう。
差額決済取引の場合には、ビットコインを売ったり買ったりしていますが、実際にはお金の受け渡ししかしておらず、ビットコインを入手したり手放したりすることがありません。
この場合、ビットコインと現金の「交換」が行われないのです。
そこで、差額決済取引のケースでは、仮想通貨交換業には該当せず、仮想通貨交換業の登録なしに、売買を進めることができます。このことは、国の発表しているガイドラインによっても明らかにされています。
企業が営業行為として、不特定多数相手に反復継続して取引を行う場合でも、差額決済取引だけなら、仮想通貨交換業の登録は不要です。
なお、現在、実際に、日本でビットコインの先物取引を取り扱っている「ビットバンク株式会社」などは、仮想通貨交換業の登録業者です。
個人や企業が顧客として先物取引を行うときには、仮想通貨交換業の登録は不要
以上は、仮想通貨の先物取引所を営む場合の規制であり、個人や企業が、投資のために仮想通貨の先物商品を取引する場合には、当然資金決済法による規制は及びません。
このことは、現物取引であっても同じことです。
営業行為として先物取引をする場合でなければ、自由に仮想通貨への投資を行うことができます。
まとめ
この記事のポイント
- ビットコインの先物商品としての価値が注目されている
- 先物ビットコインには、金融商品取引法が適用されない
- 先物商品としてのビットコインを売買するとき、差額決済取引を利用するなら、仮想通貨交換業の登録は不要
- 先物商品としてのビットコインを売買するとき、現物取引をするなら、仮想通貨交換業の登録が必要になる可能性がある
- 現物取引であっても、単に投資対象として単発で売買するだけであれば、仮想通貨交換業の登録は不要
ビットコインと先物取引の関係としては、上記の内容が重要です。
これから過熱していきそうなビットコインの先物市場で、上手に投資を進めていきましょう。