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ビットコイン取引所の破綻事例!MTGOX社の破産と現状について

 

2017年4月から、「仮想通貨法」が制定されたこともあり、これから仮想通貨の取引をしてみようと考えておられる方も多いでしょう。

ただ、過去において、仮想通貨取引業者が破綻したことにより、ビットコイン投資を進めていた顧客が大きな被害を受けた事件がありました。

 

今後も、仮想通貨交換業者が破綻する可能性はありますから、このときの状況や結果について、知っておく必要があると言えます。

 

今回は、ビットコイン取引所である「MTGOX社」の破綻事例と現状、そこから学べることについて、解説します。

 

MTGOX社の破綻

 

まずは、ビットコイン取扱い業者の破綻事例をご紹介します。

有名なのでご存知の方も多いかもしれませんが、MTGOX社(マウントゴックス社)という会社のケースです。

 

MTGOX社は、「MTGOX取引所」という仮想通貨の取引所を運営していた会社です。

もともとは、2009年に設立されたトレーディングカードの交換所でしたが、2010年にビットコインの取引所に転換して、業績を伸ばしてきました。

 

2013~2014年頃には、非常に大規模にビットコインの取引をしており、利用者も非常に多くなっていました。利用者の中で、特に多かったのは外国人で、日本人による利用者は1000人程度であったとのことです。

 

ところが2014年2月、突然、MTGOX社のシステムに不具合が発生し、不正なアクセスを受けたため、顧客から預かっていた75万枚のビットコインと、自社のビットコイン10万枚の、合計85万枚のビットコインを消失してしまいました(MTGOX社の発表による)。

 

そのとき、MTGOX社が顧客から預かっていたビットコインは410億円相当自社が所有していた分が、時価55億円相当でした。

このことで、MTGOX社は資金繰りが苦しくなり、事業運営をしていくことが難しくなって破綻しました。

 

MTGOX社の再生手続きと破産手続き

 

MTGOX社は、顧客に対するビットコインの返還ができないため、2014年2月28日、東京地方裁判所に対して民事再生の申立をしました。

 

しかし、MTGOX社の債権者の多くは海外居住であり、MTGOX社の経営実態に関する調査もなかなか進みませんでした。そこで裁判所は、2014年4月16日、MTGOX社による民事再生の申立を棄却して、資産保全命令を出し、同月24日に破産手続き開始決定が下されました。

 

破産手続きが開始すると、破産管財人による債権調査が進められ、一時は263兆円分もの債権届がありましたが、管財人が精査をすることで、最終的には債権額は456億円程度となっています。

 

MTGOX社の現状

 

一般的に、企業が倒産(破産)するとき、債権者に対して多額の配当が行われることは、ほとんどありません

破産する頃には、企業にはほとんど資産が残っていませんし、資産があったとしても、破産管財人が早期に換価を進めるために、いわばたたき売りをしてしまうため、多額のお金を集めることができないのです。

そこで、10%以下の配当となることも多いです。

 

しかし、MTGOX社の場合、非常に珍しい現象が起こっています。

2017年7月ころの報道によると、昨今のビットコインの価格上昇により、MTGOX社が所有しているビットコインの価値が上がり、負債額の456億円を上回りそうだというのです。

 

MTGOX社が破綻した当時、同社が所有していた資産は、現金10億円と20万枚のビットコインでした。ビットコインの当時の時価は、120億円程度であったため、到底弁済が難しい、ということになったのです。

 

ところが、2017年に入り、ビットコインの価値が当時の5倍程度となったため、MTGOX社の資産価値は600億円以上の評価額となっています。

これにより、MTGOX社の破産事件では、満額配当が行われる可能性もあると言われています。

 

民事再生とは

 

ここで、MTGOX社が利用した、民事再生という手続きについて、簡単に説明をします。

 

民事再生とは、債務を圧縮して、その圧縮した債務を弁済することにより、企業が再生するための手続きです。

 

民事再生をした場合、会社はなくならずに存続します。そして、民事再生の手続き中や手続き後に会社を引っ張っていくのは、旧経営陣です。

つまり、民事再生をした場合には、旧経営陣が辞任する必要がなく、自分たちで会社を再生させることができます。

 

ただ、再生が認められるためには、裁判所に再生計画を認可してもらう必要があります。

そのためには、きちんと資産内容、負債の内容等を明らかにして、債権者による同意を得なければなりません。それができなければ、民事再生は棄却されるなどして、失敗に終わります。

 

MTGOX社の場合にも、当時の経営陣は、自分たちの手でMTGOX社を再生させようとして民事再生を利用したのですが、裁判所に認められずに棄却され、失敗に終わっています。

 

破産とは

 

2017年現在、MTGOX社は、破産手続き中です。

 

破産とは、債務者の財産を清算して債権者に配当する手続きのことです。

 

企業が破産すると、企業が所有する財産を全額換価して現金に換えて、最終的に債権者へと配当されます。破産手続きが終了すると、会社は消滅します。

 

破産手続きを進めるのは、裁判所から選任された「破産管財人」です。破産手続きが開始すると同時に破産管財人が選任されて、旧経営陣は会社における実権を失います。

破産管財人は、債権者の調査と資産内容の調査を進めて、資産をどんどん現金化していきます。

 

そして、最終的に、判明した債権者に対して、集めた現金を公平に配当します。

 

通常の企業破産では、配当率が非常に低いことが多いです。たとえば、過去に武富士という消費者金融会社が破産したことがありましたが、そのときの配当率は、わずか3.3%でした。

これまでの、一般の破産のケースでは、配当率が100%ということはありえませんでした。

 

100%配当できるなら、会社をつぶさなくても自力で弁済できますし、債務超過を前提とした破産手続きをしなくても、普通に清算手続きができるためです。

 

ところが、今回のMTGOX社の破産手続きでは、満額配当という話が出ています。

しかも、債権者の多くは、現金での支払いよりも、ビットコインによる現物の支払いを希望しているということです。

このようなことは、これまでの破産事件には見られなかった、非常に珍しいことです。

 

しく値動きをするビットコインであればこそ、発生した事情と言えるでしょう。

 

現在の仮想通貨利用者保護制度について

MTGOX社の債権者に多額の配当が行われるのは、偶然に過ぎない

 

以上のように、MTGOX社の債権者は、高い配当を受けることができる可能性が出てきていますが、それは、偶々この3年の間(破産手続き中)に、ビットコインが激しく値上がりしたためです。

 

もともと、MTGOX社が破綻した段階での時価を基準とすると、25%程度の配当しか受け取れなかった可能性が高いです。特に、MTGOX社では、一時期200兆円を超える債権届出があったため、債権者としては、完全に配当を諦めている状況でした。

 

そうだとすると、今後、ビットコインの取引をしていて、取引所の業者が破綻すると、利用者の財産は、やはりほとんど戻ってこないのでしょうか?

 

現在は、仮想通貨交換業者に、さまざまな規制が行われている

 

実は、MTGOX社が破綻したときと現在とでは、仮想通貨取扱い業者に課される規制内容が異なっています。

 

MTGOX社が破綻した2014年においては、仮想通貨の法的な取扱いが明確ではなく、規制する法律も一切ありませんでした。

そこで、MTGOX社における財産の保持義務や利用者への説明義務、帳簿等の作成義務などは、まったくない状態だったのです。

 

このような状況がMTGOX社の破綻や利用者への大きな損害を発生させたということで、2017年、資金決済法が改正されました。

資金決済法では、仮想通貨の取引業を行うときには、必ず「仮想通貨交換業」の登録をしなければならないとしています。

 

そして、仮想通貨交換業者に対しては、以下のように、利用者保護のための、さまざまな規制や義務が課されています。

 

財産的基礎が一定以上でないと、仮想通貨交換業者として登録できない

まず、財産的基礎が一定以上の業者でないと、そもそも仮想通貨交換業者となることができません。登録申請をしても、拒絶されてしまいます。

このことで、最低限、仮想通貨交換業者の財産が保全され、たとえ破綻したときにも、利用者に返ってくる財産が多くなります。

 

利用者に対する説明義務

また、仮想通貨交換業者は、利用者と取引を開始するときに、損失を受けるおそれがあることなど、いろいろなリスクについて説明をしなければなりません。

 

帳簿の作成・保存義務

仮想通貨交換業者は、適正に帳簿を作成し、管理・保存すべき義務も負います。

 

財産の分別管理義務

さらに重要なのは、財産の分別管理義務です。

 

財産の分別管理義務とは、顧客の財産と仮想通貨交換業者の資産を、分けて管理しなければならない義務です。

 

会社運営のために使って良いのは、会社の財産だけであり、顧客の資産については、どれだけ経営が苦しくても、使いこみが許されません。

このことにより、仮想通貨交換業者が破綻しても、顧客が預けている資産については、そのまま返ってくることになります

 

以上のように、現在の法制度においては、いろいろな工夫により、利用者保護が図られています。そこで、適法な仮想通貨交換業者を利用する限りにおいては、仮想通貨交換業者が破綻したときの損失も、最小限度に抑えることができます。

 

無登録の業者を利用すると、お金は返ってこなくなる

 

これに対し、無登録の仮想通貨交換業者を使って仮想通貨の取引をするのは、非常に危険です。

 

無登録の場合、そもそも財産的基礎がしっかりしていない可能性が高いですし、財産の分別管理も行われていません。利用者の財産が使い込まれて、破産時には一切返ってこない、ということもあり得ます。

 

そこで、ビットコイン等の取引をする場合には、必ず仮想通貨交換業の登録をしている業者を利用すべきです。

 

適正な業者であれば、契約の際に、企業名や所在地、仮想通貨交換業の登録番号などを告げられます。金融庁から発表されている登録業者に該当があるかどうか、確認してから取引すると良いでしょう。

 

まとめ

 

以上のように、MTGOX社の事件は、センセーショナルで、世間によるビットコインへの信用を大きく失わせるものでしたが、今は、たまたまビットコインが値上がりしたことによって、満額は慰謝料等を受けられそうな状況です。

 

しかし、基本的に、ビットコイン取引所が破産すると、配当率は高くならないのが通例です。

 

現在では、資金決済法による規制が及ぶため、仮想通貨交換業者を利用すると、業者破綻による損失を最小限度にとどめることができます。

ビットコイン取引をするときには、必ず仮想通貨交換業の登録業者を利用しましょう。