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仮想通貨の貸し借りをするとき、貸金業法の規制が及ぶのか?

 

ビットコインなどの仮想通貨は、お金と同じように使うことができます。

そこで、仮想通貨を人に貸すことも可能ですが、その場合「貸金業法」が適用されるのでしょうか?

 

貸金業法では、貸金業を営む場合には「貸金業」の登録をしなければならないと定められています。違反すると、重い罰則もあるので、注意が必要です。

 

今回は、仮想通貨の貸し借りをするときに、貸金業法による規制が及ぶのかについて、解説します。

 

貸金業法とは

貸金業者とは

貸金業法は、お金の貸し借りについてのルールを定めた法律です。

貸金業法によると、業として、人に対してお金を貸し付けたり、金銭の貸し借りを媒介したりする場合には、貸金業の登録をしなければならないとされています(貸金業法2条1項)。

 

つまり、商売として、反復継続して、人にお金を貸し付ける営業をするのであれば、金融庁で「貸金業者」としての登録を受ける必要があるということです。

 

貸金業者に課される規制内容

 

貸金業者には、さまざまな規制が及びます。

たとえば、貸付利率の制限があります。

 

一般の個人同士の借金などのケースでは、借金の利率の上限は年率109.5%ですが、

貸金業者の場合、利率は以下のとおりに制限されます。

  • 借金の額が10万円未満 年率20%以下
  • 借金の額が10万円以上100万円未満 年率18%以下
  • 借金の額が100万円以上 年率15%以下

 

また、貸金業者には、取り立ての規制も及びます。

取り立て規制とは、借りた人が借金返済をしないときに督促を行う方法のことです。

 

たとえば、深夜や早朝に電話をかけてはいけませんし、正当な理由がない限りは勤務先に連絡してはいけません。

支払い義務のない人に返済を迫ってはいけませんし、取り立てに行ったときに、債務者が退去を求めたら、退去しなければなりません。

 

このような貸金業者の義務に違反した場合には、貸金業者は金融庁によって行政処分を受けることになります。違反の程度が大きければ、業務停止となったり、登録を取り消されたりする可能性もあります。

 

無登録営業をしたときの罰則

 

無登録で貸金業を営業すると、刑罰を科されます。

刑罰の内容は、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金となっており、非常に重いです(貸金業法47条)。

 

無登録営業は「ヤミ金」

 

貸金業法に違反して、無登録で貸金業を営業する行為は、いわゆる「ヤミ金」です。

ヤミ金は、貸金業登録をしていないので「ヤミ」金融と言われるのです。

 

ヤミ金は、貸金業登録をしていないので、貸金業法の規制に従いません。

利息も、平気で利息制限法の上限を超えた利率を適用して暴利を取り立てますし、取り立て規制にも従いません。酷い嫌がらせによって取り立てを行います。

 

そこで、ヤミ金は「利息が法外で、取り立てが厳しい」のです。ヤミ金の嫌がらせや脅迫によって、自殺してしまう債務者もいます。

ヤミ金は社会問題にもなっているので、警察もヤミ金の取り締まりには、非常に力を入れています。

 

もし、仮想通貨を人に課すときに貸金業登録が必要だとしたら、無登録で仮想通貨を人に課したとき、「ヤミ金扱い」されてしまうおそれがあり、厳重に処分されてしまうおそれがあります。

 

仮想通貨の貸し借りには、貸金業法が及ばない

 

それでは、仮想通貨の貸し借りに対し、貸金業法による規制が及ぶのでしょうか?

 

仮想通貨には、貸金業法が適用されない

 

実際には、仮想通貨に対しては、基本的に貸金業法による規制が及ばないと考えられています。

それは、仮想通貨が「金銭」ではないと考えられているからです。

 

貸金業の登録が必要になるのは、「金銭」の貸し付けや貸付の仲介を行う場合です。

そして、仮想通貨は、法律上「通貨」としては取り扱われていません。単なる「資産」としての位置づけです。株式などの「金融商品」にすらなっていません。

そこで、貸金業法上の「金銭」に該当することがないのです。

 

このように、仮想通貨には貸金業法が適用されないので、商売として仮想通貨を人に貸して、利息をつけて取り立てをしても、貸金業法による規制が及ばないことになります。

 

利息の規制が及ばないので、自由に利息をつけることができますし、早朝や深夜の時間帯に電話をするなどして取り立てを行っても、違法にはなりません

 

仮想通貨で借金するときの問題点

 

そこで、仮想通貨による借金をしてしまったら、相手が悪質な場合、大変な目に遭うおそれがあります。

 

この先、闇金融が、この点に注目して仮想通貨による貸付を行ってくる可能性も十分考えられるので、仮想通貨によって借金をする場合には、慎重にならなければなりません。

 

仮想通貨交換業の登録が必要になるケース

 

以上のように、仮想通貨によって貸付を行うときに、貸金業登録が必要になることはありませんが、仮想通貨交換業の登録が必要になる可能性があることに、注意が必要です。

 

仮想通貨交換業者とは、

仮想通貨の売買をしたり、他の仮想通貨との交換をしたり、その仲介をしたりする業者のことです。

 

こういった仮想通貨取引をするときには、必ず仮想通貨交換業の登録をする必要があり、登録せずに仮想通貨交換業を営むと、資金決済法違反となり、違法行為です。

 

仮想通貨を人に貸すとき、現金(通貨)や他の仮想通貨で返済を受ける可能性があります。その場合、仮想通貨を現金や他の仮想通貨と交換していることになるので、仮想通貨交換業に該当してしまう可能性があります。

 

現金を貸して、仮想通貨で返還してもらうケースでも同じです。

そこで、このように、仮想通貨による貸付業を、仮想通貨以外の通貨を取り入れながら行う場合や異なる種類の仮想通貨を取り混ぜて行う場合には、仮想通貨交換業の登録をしないと違法になる可能性があります。

 

今後、仮想通貨を使ってお金の貸し借りをするとき、参考にしてみて下さい。

 

信用取引のケース

信用取引とは

 

仮想通貨と貸金業法については「信用取引」に関する問題もあります。

 

信用取引とは

現金や株式などの有価証券を証券会社に預けて担保にしてお金や株を借りて、担保以上の金額の取引をすることができるというものです。

自分を信用してもらうことによって取引するので、信用取引と言います。

 

そして、信用取引をするときに差し入れる担保のことを「保証金」と言います。

 

たとえば、信用取引で50万円の保証金を預け入れると、150万円分までの取引が可能(倍率が3倍のケース)となることなどがあります。

 

証券会社の信用買いには、貸金業法が適用されない

 

信用取引をするときには、顧客は保証金の分しか支払をしていないのに、それ以上の価格の株券などを購入することができますが、このとき、株券などの代金を払ってくれるのは、証券会社です。

そこで、信用取引では、顧客は証券会社からお金を「借りる」ことになります。

 

この形の信用取引のことを、「信用買い」と言います。

 

証券会社は、こういった信用買いを、日常的に営業行為として行っているのですから、顧客にお金を貸し付ける業務を行っていると言えます。すると、貸金業法の原則からすると、貸金業の登録が必要になります。

 

ただ、業として金銭の貸し付けをしていても、貸金業法以外の法律によって、貸金業登録の義務を除外されている場合には、貸金業法が適用されないので、貸金業登録が不要になります(貸金業法2条1項2号)。

 

そして、証券会社などの金融商品取引業者については、金融商品取引法によって、貸金業登録を免除されています。

そこで、証券会社が信用取引を行うときには、貸金業の登録は不要です。

 

仮想通貨の信用買いの場合

 

これに対し、仮想通貨の場合には、どのように考えられるのでしょうか?

たとえば、ビットコインに投資をするときに、ビットコインの取扱い業者に証拠金を入れて高額な信用取引をするとき、ビットコインの取扱い業者は貸金業の登録が必要になるのかという問題です。

 

この点、仮想通貨交換業者は金融商品取引業者ではありません。

そこで、金融商品取引業者に適用される除外規定は適用されません。

 

また、仮想通貨交換業について定める資金決済法やその他の法律において、仮想通貨交換業者が信用取引をするときに、貸金業登録を免除できるとする規定はありません

 

そこで、仮想通貨交換業者が顧客から保証金を受取、信用買いの取引をするときには、貸金業の登録が必要となります。

 

信用売りのケース

 

上記は「信用買い」の場合についての説明でしたが、信用取引には、「信用売り」という類型もあります。

 

信用売りとは、顧客が当初に株券などの有価証券を「売る」ことから開始する取引です。

信用売りの場合、顧客は、株式などを持っていないので、証券会社などから株券などの有価証券を借りて、それを売ることになります。

 

仮想通貨の場合にも、これと同じことが考えられます。

仮想通貨の信用売りでは、顧客が業者から仮想通貨を借りて売り、後に現金を得て業者に返還します。

この場合、業者にはどのような資格が必要になるのでしょうか?

 

信用売りの場合、お金を貸し付けることはないので、貸金業法の適用はありません。

しかし、仮想通貨交換業の登録が必要になります。

 

なぜなら、業者は、顧客に仮想通貨を貸し付けて、現金で支払いを受けているので、仮想通貨を現金に交換していることになるからです。

 

なお、上記で紹介した信用買いのケースでも、現金と仮想通貨の交換を伴うので、やはり仮想通貨交換業の登録が必要になると考えられます。

 

結果として、業者が信用売りや信用買いなどの信用取引を行うときには、貸金業登録と仮想通貨交換業の登録の、どちらも必要になるということになります。

 

まとめ

 

この記事で、重要なことは、以下の通りです。

  • 仮想通貨の貸し借りには、基本的に貸金業登録が不要
  • 仮想通貨と現金を取り混ぜて貸付業を行うなら、仮想通貨交換業の登録が必要
  • 信用買い取引を行うときには、貸金業登録が必要
  • 信用売り取引を行うときには、仮想通貨交換業が必要
  • 信用取引を取り扱うなら、貸金業登録と仮想通貨交換業の登録が必要

 

仮想通貨を貸し付けるときには、貸金業と資金決済法に注意が必要です。

求められる資格を持たずに、貸金業や仮想通貨交換業を営むと、違法になってしまいます。

 

仮想通貨の利用者サイドとしても、違法な業者を利用してしまわないように、正しい知識を持っておく必要があります。

今回の記事を参考にして、安全に仮想通貨への投資や利用を進めていきましょう。