
イーサリアム(Ethereum)はスマートコントラクトを非中央集権的に動かせることができる仮想通貨です。
そのためイーサリアムのブロックチェーンを利用することによって、人間の介入によって行われてきた契約などの手続きを自動化することが可能になります。
実ビジネスにおいてイーサリアムを応用するプロジェクトEEA(Enterprise Ethereum Alliance)にはJPモルガンやマイクロソフト、IBMなどのFortune500に登録されている企業や世界中の研究機関や学術機関が参加しており、イーサリアムのブロックチェーン利用したアプリケーションの開発が進められているなど2018年以降に実用化が期待される仮想通貨です。
スマートコントラクトとは?
スマートコントラクトの「コントラクト」には「契約」という意味があり、日本語訳をすると「賢い契約」となります。
スマートコントラクトのシステムを理解する上で、よく登場するのが「自動販売機」の例です。
自動販売機で「コーラ」を購入する場合は以下のプロセスから商品を購入することができます。
- 自動販売機に購入したい商品(コーラ)と価格が表示される。
- コーラの価格と同額のお金を投入する
- コーラを選択する
- 自動販売機はコーラを排出し、投入された資金を貯蔵する。
自動販売機では「一定の条件と成果」を設定することによって、自動的に「受付や履行」を行っているのです。
スマートコントラクトではこの自動販売機のように「一定の条件と成果」を設定し、自動的に「受付や履行」を行います。
この技術を利用することによって、レンタカーや不動産賃貸など従来は人を仲介して行っていた業務が自動化され、人件費などのコストを削減できることが可能です。
また現在では契約において、重要な注意事項を事業者側が説明したにも関わらず、消費者が聞いてないと主張する「言った言わない」の問題が生じることがあります。
しかしスマートコントラクトでは契約に至るプロセスはブロックチェーンに保存されるため、契約時における過失が透明性の高い情報として公開されます。
スマートコントラクトを利用することによって「人件費などのコスト削減」だけではなく「信用度の高い契約情報」も残すことができる可能になるのです。
イーサリアムのブロックチェーンはこのスマートコントラクトを利用することができるので、社会の契約システムを大きく変える仮想通貨として注目が集まってきているのです。
The DAO事件が生み出したイーサリアム・クラシック
The DAOはイーサリアム上のプロジェクトの一つです。
The DAOは分散型の投資ファンドを実現するためのスマートコントラクトであり、参加者の投票によって投資先などを決定して、投資を決定した配当などをスマートコントラクトによって行います。
しかしThe DAOにバグが見つかり、このバグに対する攻撃によって50億円相当以上が盗まれる事件が発生しました。
この事件からイーサリアムの開発者などはこのブロックチェーンをなかったことにして、新しいブロックチェーンに乗り換える「ハードフォーク」を行いました。
しかし、「非中央集権的」なシステムによって運用されていたイーサリアムが管理者などが「中央集権的」に強制的に変更したことに対して反対する人々は、新しいブロックチェーンではなく、従来のブロックチェーンを支持したのです。
その結果としてThe DAO事件によるハードフォークを認めなかったブロックチェーンは「イーサリアム・クラシック」となり、異なる別の通貨となりました。
しかし「イーサリアム・クラシック」は基本的なシステムは「イーサリアム」と同じですが、開発の資金や人材などが「イーサリアム」と圧倒的に劣っているのが現状です。
そのため、イーサリアム・クラシックは将来的な実用化が期待できる仮想通貨ではなく、投機対象としての意味合いが強い仮想通貨となっています。
投資対象としてのイーサリアム(Ethereum)
イーサリアムは現在(2017年11月9日)、仮想通貨市場ではビットコインについで2番目に時価総額の高い仮想通貨です。
2017年2月までは1Ether=1000円前後で推移していましたが、2017年3月から徐々に値上がりし、2017年から5月に急激な価格上昇がありました。
最高値を更新した2017年6月12日には1Ether=46,901円という価格をはじき出し、2017年の2月から同年の6月までの間で40倍以上の価格上昇を記録しました。
2016年6月12日以降は価格の乱高下を繰り返し、2017年9月末から現在(2017年11月9日)にかけてはチャートが乱高下することなく、緩やかな価格上昇をし、1Ether=36,807円となっています。
イーサリアムは今後、大規模アップデートが2回行われるというアナウンスが発表されおり、そのうちの一つである「メトロポリス」は2017年中に行われるという話題が何回かありました、実際は2018年年明け以降になると予想されます。
メトロポリスでは下記の4点が行われる予定です。
1.「zk-SNARKsやゼロ知識証明などの技術を導入して秘匿性を向上」
2.「弱点であったセキュリティの強化」
3.「さらにアプリ開発が容易になるようにスマートコントラクトの簡易化」
4.「プルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークへの以降準備」
このアップデートによって、イーサリアムの弱点であった「セキュリティ面」が改善され、スマートコントラクトを利用したアプリの開発にかかるコストが削減されるなど、イーサリアムがより実社会において実用性の高い仮想通貨になることが期待できるのです。
イーサリアムは今後も仮想通貨市場に参加をするのであれば、技術的優位性から将来的に大幅な価格上昇を期待できる仮想通貨の一つといえるでしょう。
総論
冒頭にも書きましたが現在、世界的な企業や学術機関などでイーサリアムの「スマートコントラクト」を導入しようという研究が進められています。
イーサリアムのスマートコンタクトの実用化には課題がまだまだあります。
しかしイーサリアムの開発には莫大な資金と優秀な人材が投入されているため、それらの課題を克服し、実社会で十分に運用できるシステムになることが予想されます。
投資対象としても将来的な値上がりが期待できるので、投資先の一つとして考えてみてもいいでしょう。