
ブロックチェーンは仮想通貨の大元になっている仕組みでもあり、ビットコインを誕生させた技術でもあります。
ブロックチェーンは簡単にいうと、仮想通貨の取引情報を繋げておく、1つの大きな台帳とも言えるものです。
仮想通貨の解説↓
取引がされる度に追記されていきます。そのような機能が2018年以降は実際に活用されていく時代とも言われています。
今回はブロックチェーンの基礎からこれからの使われ方までをご説明します。
目次
- 1 ビットコインを実現するための技術として誕生したブロックチェーン
- 2 ブロックチェーンを使っているのがビットコイン
- 3 マイニングによって新規コインが発行される
- 4 ブロックチェーンの種類
- 5 ブロックチェーンは今後どのように活用されていくのか?
- 6 ブロックチェーンはまだ誰でも簡単に使えるわけではない
- 7 ブロックチェーンを応用したスマートコントラクト
- 8 他にもブロックチェーンを応用した革新的サービスについて
- 9 医療分野にもブロックチェーン導入へ
- 10 遠隔医療業界の規模は世界中に広がりつつあります
- 11 メディカルチェーンの創業者自身が医療業界の改善を訴える
- 12 ICOはこれから
- 13 ブロックチェーンは様々な分野で活躍され初めている
ビットコインを実現するための技術として誕生したブロックチェーン
そもそもビットコインは暗号通貨と呼ばれ、「ブロックチェーン」と「P2P」という暗号技術によって作られたネット上の通貨です。
「P2P電子マネーシステム」というサトシナカモトという人物の論文がネット掲示板に掲載され、そこから世界中の開発者が今のビットコインを開発しました。
ビットコインや、ビットコインを元に作られた多くのアルトコインは「ブロックチェーン」を活用し応用して開発されました。
論文の中には「トランザクション(取引)」「ネットワーク」など大きく7つのキーワードが出てきます。
それらを実現させる技術が「ブロックチェーン」であり、ブロックチェーンを使って構築されたサービスの1つが「ビットコイン」です。
ブロックチェーンを使っているのがビットコイン
ビットコインの価値を生み出したのが「ブロックチェーン」と「P2P」の技術とも言えます。ではその仕組みを利用した、ビットコインの基本的な流れを説明します。
①データ取引(トランザクション)には「何月何日にAさんからBさんへ〇〇BTCを送金した」と言う内容のデータが「ブロック」です。
このブロックはオープン化されているので、誰にでも確認することができ、透明性が高いので履歴を追跡することができるので信頼性も生まれます。
②取引されたばかりのブロックの中身はハッシュ関数によって「暗号化」されるようになっています。
元となるデータから一定の文字数の不規則な文字列(ハッシュ値)を生成する関数です。
また生成されたハッシュ値から、元のデータを読み取ることができない「不可逆性」を持った、いわゆる暗号化の技術が組み合わされてできています。
中身が暗号化されたブロックをチェーンで繋げる、つまり通帳のようにデータを追記してしていかなくてはいけません。
取引をしてこれでおしまいではありません。
③ブロックデータには、上記のように暗号化された取引データと、その1つ前のブロックデータのハッシュ値が含まれています。
その1つ前のブロックデータはすでに追記されています。その続きに追記するためには、1つ前のハッシュ値と「キー」となる特別な数字を見つけ出すことで「整合性」を取ることでき、ここで初めてブロックチェーンに新たに追記することができます。
この流れを「認証作業」=「マイニング」と言います。ビットコインの場合は10分間に1回行われています。
つまり、ビットコインでの取引情報が1つの巨大な台帳に繋がっているシステムをブロックチェーンとなります。
この取引台帳は公開されているので二重払いや、偽造といった行為を防ぐ仕組みにもなっています。ビットコインウォレットで公開され、ユーザー同士が監視し管理するする形式を「P2P」=「分散型取引台帳」と呼ばれています。
マイニングによって新規コインが発行される
トランザクションはある程度まとめて、チェックされ、新しい台帳に追記されます。その承認作業は膨大な暗号計算が必要になります。
「キー」となる特別な数字を見つけ出すまで計算します。その計算が一番早かった人(マイナー)が台帳に追記することができ、その時、新規コインがそのマイナーへの報酬として発行される仕組みです。
マイナーは世界中に存在しますが、とても個人が家庭用のパソコンでは太刀打ちできないレベルです。
GMOインターネットが2017年12月より北欧でマイニングをスタートさせました。その時の投資額が100億円を超えています。
それだけの規模でなくてはいけないわけではありませんが、企業でも参入が難しいと言われている世界です。
個人が参加するためには、そういったマイニングを行なっている企業のクラウドマイニングやプールマイニングに参加し報酬を得る方法があります。
ブロックチェーンの種類
ブロックチェーンには大きく分けて2つの種類があります。「パブリック型」と「プライベート型」です。
・パブリック型
「パブリック型(パブリックチェーン)」は、中央集権的な管理機関を持たず、不特定多数の誰でも自由に参加でき、誰でもマイニングに参加できるブロックチェーンを指します。ビットコインやライトコインが代表的です。
・プライベート型
「プライベート型(プライベートチェーン)」は、管理者(管理機関)がいるのが特徴です。マイニングを行うためには、管理者の許可によってコントロールできるため(パブリック型はマイナーの賛同を得なければならない)、金融システムの管理などに活用できます。
ブロックチェーンは今後どのように活用されていくのか?
ブロックチェーンは画期的なシステムでもありますが、技術的にはまだ初期段階にあるとも言われていますが、ブロックチェーンに投資する企業も多く存在し、これから本格的に使われるだろうと予想できます。
インターネットも当初は極一部にしか使われていませんでしたが、現在では誰もが自然とインターネットを活用し、SNSでコミュニケーションを取る時代になりました。
ブロックチェーンはデータを永久的に維持・管理ができ、第三者からの干渉を心配する必要がないので、データ管理する手間、コストの削減だけでなく、価値の保持に関わることまで可能にするでしょう。
金融業界、登記に関わる不動産や住民データを管理する行政、またはデータを大量に管理しておかなくてはならない中小企業から大企業にたるまで、旧態のシステムを構築していた業界に当てはまります。
ブロックチェーンはまだ誰でも簡単に使えるわけではない
上記でも話したようにインターネットの初期は誰にでも使えるわけではなく、グログもまだまだ存在せずホームページを作るにも、HTMLのプログラムを勉強しながら作っていました。
その後、誰にでも編集が可能なブログが誕生し、YahooやGoogleのような巨大な検索ホームページができ、FacebookやTwitterからさらに簡略化さらえたアプリが登場しました。
20年〜30年の歳月をかけてインターネットも進化してきました。となるとブロックチェーンはまだHTMLのところにいます。開発者しかプログラミングすることはできません。今後さらに進化し、誰にでも簡単に使えるようになるまでには時間が必要です。
それでもブロックチェーンの未来に期待している企業も多く、投資の金額も大きくなっています。ブロックチェーンがこれからビジネルに浸透していく時代は遅かれ早かれ来ることは事実でしょう。
ブロックチェーンを応用したスマートコントラクト
ブロックチェーンはビットコインのように通貨機能としての使い方だけではありません。実際に応用した技術は既に数多く存在します。
仮想通貨ユーザーには広く知られているものがイーサリアムです。イーサリアムにはスマートコントラクトという技術があり、イーサリアムの時価総額ランキングは第2位を維持しています。
ちなみにイーサリアムと同じようにスマートコントラクトを持っている暗号通貨がLiskで、イーサリアムより開発言語を豊富に持っており、開発者がイーサリアムより参入しやすいと言われています。
このスマートコントラクトですが、端的に言うと「スマートな契約」です。ビットコインやライトコインなどのブロックチェーンは取引情報だけがブロックチェーンに繋げられています。
原理は、コンピューターが理解できる契約(人間の個別的判断を要せず、予め決められたルールに従って自動的に実行できる契約)をブロックチェーン上に条件や成果など予め定義した契約内容を書き込んでおきます。
そうすることで自動的に取引を実行することができます。
しかも確実に保管しておくこともできます。
契約条件を記録→イベント発生→契約執行→決済となり、契約してから決済までを自動的に行われるシステムです。
契約が自動的に行われることで、仲介する機関や手間を大幅にコストカットすることが可能になります。画期的なシステムに目をつけたマイクロソフトや大手企業が活用したことで、一気に信用を集めました。
例えば、スマートコントラクトを金融資産業界、株式、債券などに用いた場合、個人が株や債券を証券会社を介さずに直接売買することが可能になるということです。
他にもブロックチェーンを応用した革新的サービスについて
●ポイントサービス:ブロックチェーン「mijin」
ポイントカードは日々の生活から切っても切り離せない存在です。マメな人はしっかりポイントカードを管理して使い分けてもいますが、面倒だと感じてしまう人は貯めたり貯めなかったりするものです。
そこで日立ソリューションズの「Pointlnfinity」は多様化した情報を統合し活用することができるシステムです。
これを導入することにより事業ごとの個別ポイントでも相互利用できるようになり、事業間の送客効果も見込められるようになります。
●不動産取引にも活用:イーサリアム(REX)
イーサリアムは不動産取引には有効的な活用が期待されています。不動産売買には様々な手続きやそれにかかる高額な手数料に、取引完了までに時間がかかります。そのような作業をスマートコイントラクトに書き込むことで、手間もコストも削減できます。
実際に、イーサリアムを使って不動産を売りたい場合はREXが必要になります。2017年12月よりサービス開始予定です。
●食品管理にも応用
食品の安全性には、生産者が誰でどこで加工され、どうやって流通されたかといった情報が明確でなければなりません。
消費者だけでなくスーパーや問屋も情報の管理には様々な工夫がされてきました。
そこで2016年10月からアメリカのスーパーで、豚肉の通流ルートとアメリカ製パッケージ商品の流通経路をブロックチェーンに記録するテストがスタートしました。
この技術には 、IBM社のブロックチェーンサービスが利用されています。改ざんされることもなく、データは永久的に保管されるので、問題が起こった際も迅速に対処することができます。
●農業にもブロックチェーンを利用:ブロックチェーン、SIVIRA社製
農業には農薬や肥料、有機農法ならどのような土壌質なのかなど消費者はきになるところです。
そこで宮崎県綾町がブロックチェーン・ベンチャー企業のSIVIRA社製の「Broof」を活用して構築するブロックチェーンを利用しています。使われた農薬や肥料を「Broof」に保存し、消費者に信頼性のある情報を提供するサービスを始めました。
●個人の特定に応用
予め定められた質問に答えて個人認証するアプリ「Blocknotary」にブロックチェーンが使われています。リモートID確認、詐欺防止、クレジットカードの認証にも使用できます。
クレジットカードにおいては既に実績が出ており、詐欺で困っていたカードプロバイダーのPay-Meでこのアプリが使われています。
●国家の経済管理にも
バルト三国でもあるエストニアは観光地でも有名ですがIT先進国でもあります。
納税システムや登記、人口約8割の医療記録や株式会社での議決権行使などがブロックチェーンが多数使われています。
準備段階ではありますが、ブロックチェーン・ベースの証券取引所開設も進められています。
ブロックチェーンを導入することで無駄が減り、効率の良い経済作りに繋がっているのだと思われます。
医療分野にもブロックチェーン導入へ
公式サイト:https://medicalchain.com/en/
メディカルチェーンというICOは2017年12月時点で世界中から注目されているブロックチェーンです。
患者の医療データをブロックチェーンに載せることで、病院やクリニックなどの医療施設、医師や薬剤師などの医療従事者、また患者自身が医療情報にアクセスできる環境を構築しようとしているのが、メディカルチェーンです。
メディカルチェーンのプロジェクトは「Discharge Sammary」というツールを使ってスタートされました。
既にそのシステムをイギリス国内の3つの病院で試運転されています。
最大の目的は、このツールを使って医者と病院間のコミュニケーションの質を高められるように設計されています。
例えば、他の病院へ移された患者や、既に健康状態が回復して病院を退院し、今後かかりつけの医師に診察してもらうような患者は、次に掛かる病院にこれまでの経緯を説明する必要があります。
そこで構築されたメディカルチェーンのアプリを使うことで、効率よく医療記録を確認することができます。
全ての患者の医療記録をブロックチェーンに保管すれば、医療業界内のコミュニケーションの円滑化を目指せます。
また難病の患者がいくつも病院を回って解決策を探さなくても、ブロックチェーンに保管された病状をどこの医療機関でも確認できれば、難病を治療できる病院をすぐに見つけ出すことも可能になるかもしれません。
遠隔医療業界の規模は世界中に広がりつつあります
このアプリではオンライン上で医者と話すことはもちろん、医療記録の共有やコンサルを受けることもできます。
仕事を休んで病院へ足を運ばなくても、オンライン上で診察してもらうことも可能です。
現在、この遠隔医療と呼ばれる業界は規模が非常に大きく、世界中に広がっています。
約2.2兆円の市場があります。その市場はさらに広がり、3年後には3倍になるとまで言われています。
メディカルチェーンの創業者自身が医療業界の改善を訴える
海外ではまだ病院間のコミュニケーションが全くされていない状態もあるそうです。
ディカルチェーンの創業者の一人Mohammed Tayeb氏はイギリスに住んでいますが、具合が悪くなった息子を掛かり付け病院から大きな病院で診察してもらうことになりました。
紹介状を書いてもらいましたが、国立病院の小児科には一切息子の病状が伝えられていない状況だったそうです。
かろうじてMohammed Tayeb氏が医療記録を写真に撮っていたのでまだ良かったそうです。
両方の医者には共通する患者がいるにも関わらず、患者は記録を持つこともそれを貸すこともできない現状です。
しかも情報さえも行き来していません。そこでブロックチェーンを使うことで今の医者も、次の医者も医療記録を閲覧し連絡を取り合うことができます。
また改ざんされずに情報が残るからこそ、患者側も信頼して任せることができます。その後は、病院間だけでなく、研究分野、薬剤師、保険会社などの様々な医療機関が、プライバシーを失うことなく、医療記録にアクセスできるように開発されていくそうです。
ICOはこれから
拠点はイギリスにありますがこれまで、アメリカやカナダで会談を行ってきたそうです。現在は韓国やシンガポール、日本などのアジア地域での会談を行っているそうです。最終的には世界中の国々でパートナーシップを築いていくことでしょう。
2018年2月から具体的にICOが始まります。医療というジャンルは人間が健康に生きていくためには必要なものです。
そこにブロックチェーンが組み込まれることで、効率化やコスト削減など色々な面で活躍していくでしょう。
メディカルチェーンのミートアップが日本にて開催:https://pages.blockchain-labo.jp/201801/
ブロックチェーンは様々な分野で活躍され初めている
まだまだブロップチェーンが活用されている分野はあるでしょう。一般の人ではすぐに手に取り操作することは難しいかもしれませんが、これから開発が進みスマホの方に誰にでも扱えるようになる時代が、すぐそこまで来ています。