「ソーシャルレンディング」市場規模拡大 現状の問題と今後の動向

近年、ソーシャルレンディングの市場規模は急速に拡大している。
「ソーシャルレンディング」とは、企業がインターネットで複数の人々より資金を借り入れることであり、資金調達手段の一つである。

我が国におけるソーシャルレンディングは2008年、maneo社の個人向け投資モデルが開始したことが初めであり、まだまだ歴史が浅い。しかし、昨年度のソーシャルレンディング市場規模は前年度の2.2倍の約1500億円と、その拡大は著しい。

ソーシャルレンディングの特徴は、個人がインターネットからウェブサイトを通じ簡単に小口で投資できることである。

仲介業者(ソーシャルレンディング業者)が個人へ投資を募り各企業へ貸し付ける形で行われるが、その大部分が5~10%と高利である。

低金利が継続している現在、高利の傾向にあるソーシャルレンディングは出資が集まりやすく、現在のクラウドファンディングの市場規模のうちその大半をソーシャルレンディングが占める。

今年度もさらなる規模拡大が見込まれるが、現状ですでに種々の問題が浮上している。

特に、返済などを巡るトラブルは多数発生し、完全な予防策は未構築である。
また、虚偽の内容で出資を募るなどソーシャルレンディング業者の不正が発覚し、昨年金融庁から6社が業務停止命令の処分を受けた。

そのほか、業者が集まった資金を親族の経営する企業へ私的に貸し付け提訴された例もある。このソーシャルレンディング業者は返済不能であるとわかりながら資金を募集していたことから、損害賠償請求を受けることとなった。

法的には投資家は貸付先の名称を知ることができないため、リスク判断はソーシャルレンディング業者の情報のみで行うほかないのが現状で、投資家の保護は決して十分でない。これを踏まえ、金融庁は法運用の見直しを検討中である。

また、各ソーシャルレンディング業者からも信頼性を向上するための取り組みが始められている。金利を従来の高利からやや低い水準とする代わりに、貸付業者を上場企業などに限定するなどである。

依然未成熟な形態ではあるが、ソーシャルレンディングが今後さらに精度を高め市場規模を拡大することは間違いがない。