
ブラジルではフィンテック企業が躍進的な成長を見せており、フィンテックの規模拡大は目覚ましい。
同国は近年経済状況が思わしくなく危機的ともいえる局面にある。
そのような状況にもかかわらず、銀行口座を使用しない人が6000万人にも及ぶまでに、フィンテック企業が拡大を果たしている。
その中心を担う企業は2013年に設立された「Nubank(ヌーバンク)」である。
同社は500万枚を超えるクレジットカードを発行し、デジタル銀行サービスの利用を250万人超まで拡げている。
創業者であるデヴィット・ヴィレスはコロンビア人であり、当初、ブラジルで現地の企業との競争に打ち勝つことができるとは考えられていなかった。
しかし彼はクレジットカードサービスの提供であれば新規参入企業でも利用者数を増やすことができる予見し、見事事業を拡大させた。
ブラジルでは銀行の発行するクレジットカードの手数料が高い。
ヌーバンクは支払いを受け取った業者による手数料とカードローン金利等を収入源としており、個人のカード発行による手数料は無料である。これにより利用は瞬く間に拡がった。
また昨年一月、ヌーバンクは現地金融当局よりブラジル中央銀行からの消費者向けローンを提供する正式な許可を取得しており、現地のフィンテック領域の競争において既に公的な地位を勝ち得ている。
ブラジルのフィンテック事業には大手通販サイトアマゾンや世界的ソーシャルネットワークシステムのフェイスブックなど有力企業の参入が予測されるが、ヌーバンクはタイミングよく事業を展開したことで現地の先行企業として確固たる地位を築くことに成功したといえよう。