
急激に進むフィンテックの普及により、現在フランスでは銀行員の離職が増加している。
フィンテックにより銀行では求められる人材の適性が大きく変化し、従来のシステムで適性のあった社員がミスマッチ化していることが原因だ。
2018年では前年度よりも1割以上離職者が増加した銀行も見られた。
フランスの経済紙レゼコーは、同国で大手の銀行パリバにおける離職者が2017年から16%増加して約1万3千人にも上り、ソシエテ・ジェネラルにおける2018年離職者が2017年から8%増加した約1万1千人に上っていることを報じている。
その背景には、銀行へ他業界がすさまじい勢いで参入していることがある。
フランスのフィンテック企業「バンキン」は英独仏やスペインの4カ国でサービスを展開し、約350の銀行と提携している。
同社は独自に持つ1つのアプリを通じて銀行らと提携しており、利用者は300万人超だ。
また、フランスの大手通信会社のオランジュは一昨年より運営がスタートした「オランジュ銀行」などオンライン銀行で数十万人の利用者を獲得している。
大手の銀行ではフィンテック業者との提携により経営をスリム化することが必須となりつつあり、同様のサービスを提供する企業の参入が矢継ぎ早に起きている。
これにより、店舗やATMの閉鎖が進んでおり、フランスでは2016から2020年のわずか5年間で店舗の8分の1が閉鎖されると予測されている。
フィンテック導入による人員整理や大規模な配置換えが銀行員の離職の一員となっていると考えられよう。
日本においても新卒採用枠での就職活動を行う学生の間で就職先としての銀行の人気は落ちている。
今後デジタル化していく銀行でどのような働き方がスタンダード化しどのような人材が本領を発揮できるかが日本の金融業界とそれを担う学生らにとって重要な問題である。