G20セミナー フィンテックのリスクに有識者ら言及

近年の世界的なフィンテック普及拡大により、国際機関や各国で従来の法的枠組みを改定する必要が生じている。

これに際し、現在各国・各機関ではフィンテック導入と普及の拡大による今後の影響について状況の予測と対策が議論されている。

そのような中、昨日8日開催された主要20か国や地域の集まるG20セミナーにおいて、各国の財務省及び中央銀行総裁らがフィンテックに関する講演を行った。

同セミナー参加した三菱UFJファイナンシャルグループの平野会長はパネル討議において、フィンテックの持つ潜在的なリスクが「間もなく現れてくる」と発言している。

金融領域に事業を拡大している企業が次々に現れている今、ハイテク企業が決済のみならず預金に類するサービスなども行うようになっている。

平野会長はこれについて、従来金融機関を悩ませてきた問題を新規に決済分野に乗り出した企業が同様に抱えることとなると指摘し、それら企業におけるサービス展開が加速していることについてリスクの実現が早くなる可能性があるため、国際機関で監視を強めるとともに各国金融機関がフィンテック企業を協力する必要があるとの考えを述べた。

また、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は仮想通貨やノンバンクの金融仲介への対応といった国ごとに異なるアプローチの調和は重要である一方、金融安定や消費者保護も目指す必要があることを講演にて説明し、「国際的な対話を続けるのが重要だが、見かけほど簡単ではない」としてフィンテックの将来を目指す姿勢として慎重さが欠かせないことを強調した。

世界随一のフィンテック先進国中国では、フィンテックの利用拡大に伴いその市場の集中をめぐる問題やプライバシーの問題、サービスの競争激化などが解決されないままに発展してきた。

利便的なフィンテックの普及とさらなる技術革新には国際基準でこれらを是正しつつリスクを軽減していく体制の構築が不可欠であるといえるだろう。