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将来はこうなる!?ハイブリッド型ロボアドバイザーの誕生

国内のロボアドバイザーには、運用のアドバイスを受けられる「投資アドバイス型」と、運用をすべて任せられる「投資一任型」があり、後者が主流です。

ただ、ロボアドバイザー先進国の米国では、ロボアドバイザーと専門家のアドバイスが受けられる「ハイブリッド型」がメインになっています。

この記事では、米国のロボアドバイザーサービスを参考にして、国内ロボアドバイザーサービスの今後を展望します。

1.ロボアドバイザーとは

ロボアドバイザーとは、AI(人工知能)などのコンピュータープログラムが、投資家に最適な資産運用のアドバイスや助言をしてくれるサービスです。年齢や運用期間、投資経験の有無など簡単な質問にいくつか答えるだけで、最適な金融商品を提示してくれます。

たとえば、最大手のウェルスナビでは、質問によりリスク許容度を判定し、以下のようなポートフォリオ(資産組み合わせ)を決めてくれます(最低投資金額の10万円の場合)。

出典:ウェルスナビ

※ETFとは、株式市場に上場している投資信託のことです。

表を見てみると明らかですが、一つに集中して投資をせず分散投資型であるということが分かると思います。

あらかじめ決められたリスク許容度判定後にバランスよく配分をAIが行ったり、あなたにアドバイスしたりするのがロボアドバイザーの役割だということですね。

2.ロボアドバイザー2つの種類

国内のロボアドバイザーは、次の2種類に分類できます。

(1)投資アドバイス型

投資アドバイス型とは、投資に関するアドバイスのみを行うロボアドバイザーです。最適な運用方針や投資銘柄を選んでくれますが、実際の購入から運用まで自分で行う必要があります。

(2)投資一任型

投資一任型とは、投資の作業すべてをお任せできるサービスです。ウェルスナビやテオなど人気のあるサービスは、「投資一任型」がほとんどです。

投資一任型ではアドバイスだけでなく、実際の運用まですべてやってくれます。自分で運用するより手数料が少し高くなりますが、初心者でも簡単に投資を始めることができます。

投資一任型のロボアドバイザーの多くは、ETF(上場投資信託)で運用します。ETFとは、株式市場に上場している投資信託です。日経平均株価やTOPIXなど指数に連動することを目指します。

たとえば、テオのポートフォリオは最大30種類以上のETF.で構成されています。投資先は世界86の国・地域にわたり、最終的な投資対象は11,000銘柄以上という豊富さを誇ります。

ロボアドバイザーで資産運用を始めるだけで、世界中の金融商品に分散投資し、高いリターンを目指すことが可能です。

たとえば、2015年の日本の経済成長率は0.5%。2012年のアベノミクス以降景気回復が続いているものの、高い成長は見込めません。しかし、世界には中国やインドなど高い経済成長を続けている国があります。

その結果、現在では世界全体で約3%の成長となっているのです。

もちろん、昨年(2018年)のように世界景気が低調なこともありますが、長い目でみると世界経済は成長を続けています。株式などに投資をすることで、世界経済の成長を上回るリターンが期待できるのです。

出典:ウェルスナビ

3.ロボアドバイザーの規模

国内でのロボアドバイザーサービスは、2016年にWealthNavi(ウェルスナビ)やTHEO(テオ)がサービスを開始。わずか数年で導入する金融機関が増え、運用残高は増えています。

日本経済新聞の集計では、ウェルスナビ、テオ、楽天証券「楽ラップ」、マネックス・セゾン・ヴァンガード投資顧問の「MSV LIFE」の国内大手4社の運用残高は、2018年2月末時点で1,220億円と1,000億円の大台を初めて超えました。手軽さを武器にして、若年層中心に資金を集めているのです。

ロボアドバイザー2強の「ウェルスナビ」と「テオ」のサービス内容は以下のようになっています。

※運用報酬料は、両社とも3,000万円を超える部分は0.5%

ロボアドバイザートップのウェルスナビは、預かり資産が1,400億円を突破(2019年4月現在)し、運用者数も12万人を超えています。

ただし、野村證券や大和証券など大手対面証券の「ラップ口座」と比べると残高の差は依然として大きくあります。ラップ口座とは、証券会社などの金融機関と投資一任契約を結び、資産運用から管理までお任せするサービスです。

ラップ口座の残高は2017年末時点で約7.8兆円。大手証券の営業担当者が高齢者の富裕層を中心に資金を集めています。

ただ、金融機関の店舗に行かなければならないことや、最低投資金額が数百万円ほどかかるものがほとんどです。

一方、ロボアドバイザーは、ウェルスナビが10万円、テオが1万円と少額から始めることができ、スマートフォンなどを使って簡単に始めることができます。

しかし、ロボアドバイザーの運用手数料は、預かり残高の1%。1,000億円の残高があっても毎年の収入は10億円にとどまります。収益性は低いので、顧客基盤をさらに広げる必要があります。公式サイトに載っていますので是非ご自分で確認してみましょう。2強は以下。

WealthNavi(ウェルスナビ)公式サイト

THEO+(テオプラス)公式サイト

4.ロボアドバイザーの普及のためには米国を参考にすべき

国内におけるロボアドバイザーの普及のためには、米国の動向がヒントになります。米国では、2007~2008年ごろからITベンチャーなどがロボアドバイザーのサービスを始めました。

ロボアドバイザーというと投資未経験者向けというイメージがありますが、米国では投資経験者が87%と圧倒的に多くなっています。現在では、主に投資経験のある30~40代が中長期の積立投資としてロボアドバイザーを利用しています。

米国の投資分析会社セルーリ・アソシエイツによると、2016年末時点のロボアドバイザーの運用資産残高は約830億ドル、2021年までに3,850億ドルに達すると予想しています。

米国でもAI(人国知能)を使った新しい金融サービスとしてスタート当初から話題になっていましたが、あまり普及はしませんでした。

ところが、2014年以降、フィディリティやブラックロック、バンガードなど大手資産運用会社がロボアドバイザーに続々と参入したことにより、ロボアドバイザーが一気に広がることになりました。

普及の要因は

資産残高の多い著名な大手が参入したからというわけではありません。

ロボアドバイザーを利用しながら、利用者のライフプラインに合わせて「人」のアドバイスを付加したのです。

こうしたサービスは、AIの投資サービスに加えて人間のアドバイスも受けられることから、「ハイブリッド(複合)」タイプのロボアドバイザーと呼ばれています。

ロボアドバイザーは、スマートフォンやパソコンから簡単に始めることができ、自動的に資産運用をしてくれます。しかし、30~40代ぐらいになると結婚して子供がいて、住宅ローンも抱えるなど、それぞれのライフイベントに必要な資金計画を行う必要がでてきます。

投資はロボアドバイザーに任せることができても、ライフプラインにあった資産形成を行うのは難しいものです。

「子供の成長に合わせて40歳までに500万円を貯めたい」など、詳細な内容をコールセンターにいるフィナンシャルアドバイザーに電話で、あるいはスマートフォンやパソコンのメールを使って相談できるのです。

個人投資家の多くの支持を得たことで、米国の主流は「ハイブリッド型ロボアドバイザー」になったのです。

特に金融機関が提供するロボアドバイザーの伸びは著しく、資産運用会社のバンガードは830億ドル、ネット証券のチャールズ・シュワブは250億ドルと、独立系ロボアドバイザー最大手のベターメントの110億ドルを大きく上回っています。

5.人のアドバイスが必要な理由

米国でのロボアドバイザーは、投資経験のある30~40代を中心に、中長期での積立投資がメインです。

日本のロボアドバイザーは、若年層の投資未経験者が中心です。たとえば、テオでは20~30代がほとんどで、投資が未経験という人の割合は80%です。

米国の状況を考えると、今後、ロボアドバイザーのさらなる普及のためには、やや年上の世代や投資経験者をターゲットにする必要があります。

たとえば、40代後半にさしかかった団塊ジュニアや定年退職を意識しはじめた50代前半の世代に、老後に向けた積立投資による資産形成を勧めていくのです。

今後は、投資未経験者に対する普及活動を続けるとともに、老後資金のための「ファイナンシャル・プランニング」を含めた「ハイブリッド型」ロボアドバイザーの提供が求められます。

資産運用を始めたばかりの初心者は、預貯金以外の金融商品をそれほど多く保有していないので、ロボアドバイザーに資産運用を任せても心配ありません。

しかし、投資経験が長く、株式や投資信託を多く保有している人は、ロボアドバイザーも含めた全体のポートフォリオ(銘柄の組み合わせ)を考える必要があります。

そこで、フィナンシャルアドバイザーやファイナンシャルプランナーといった運用の知識を持つ専門家に相談する必要がでてくるのです。

米国での家計金融資産

米国での家計金融資産に占める「株式・投資信託」の割合は52.2%。日本の18.1%に比べると3倍近い差があります。これは、自らが「確定拠出年金」などで運用する必要があるからです。

ですから、投資信託などの資産運用をファイナンシャルアドバイザーに相談することは一般的です。

バンガードなどの資産運用会社は、確定拠出年金の資産残高も多いので、ロボアドバイザーと合わせて相談するメリットは非常に大きいのです。

日本でも、NISA(ニーサ)、つみたてNISA、iDeCo(イデコ)など税制面で有利な制度が広まってきています。

現在のところ、国内のロボアドバイザーはこれらの優遇制度を利用することはできません(投資一任型)が、こうした制度でロボアドバイザー利用できるようになれば、さらなる普及が期待できます。

いくつかの簡単な質問に答えるだけで、最適なポートフォリオを作成してくれるロボアドバイザーは画期的なサービスです。しかし、他の金融商品との組み合わせや、保険、税金、住宅ローンなどを考慮して資産を最適化するところまでは到達していません。

そうなると、専門家のアドバイスが必要になることが想定されます。近い将来、日本でもハイブリッド型が登場し、米国のようにメインのロボアドバイザーになっていくのではないでしょうか。

6.ロボアドバイザーの手数料引き下げが望まれる

ロボアドバイザーの手数料は1%前後が主流です(投資一任型)。たとえば、ウェルスナビの手数料体系は次のようになっています。

預かり資産3,000万円まで 年率1.0%(税別)

3,000万円を超える部分   年率0.5%(税別)

一方、米国のロボアドバイザーはもっと割安で、無料であるところも少なくありません。

資産運用会社のバンガードは、投資金額5万ドル以上でハイブリッド型のロボアドバイザーサービスを0.3%の手数料で提供。ロボアドバイザー専業のウェルスフロント(Wealthfront)の手数料は0.25%と日本の4分の1。しかも投資金額1万ドルまでは無料です。

また、ロボアドバイザー大手のベターメント(Betterment)の基本プラインも0.25%、ファイナンシャルアドバイザーによるアドバイスが受けられるPremiumコースで0.4%となっています。

ウェルスナビやテオの運用は、米国ETFが中心です。

ETFとは、株式市場に上場している投資信託で、毎年かかるコストである信託報酬は年0.03~0.1%程度。預かり手数料が1%近くかかる国内のロボアドバイザーは、コストの高さがネックになっている面も否めません。

米国のロボアドバイザーの手数料が低い理由は、ビジネスとして成立しているからです。顧客や投資金額が大きいため、割安な手数料でも運営できます。

国内でも、今後、顧客・投資金額が増加していけば、手数料の引き下げ競争が始まるでしょう。

テオの新手数料体系

実際に、手数料引き下げの流れはでてきています。2019年2月にTHEO(テオ)が新手数料体系「THEO Color Palette(テオ・カラーパレット)」を発表。

出典:テオ

期間中の預かり資産に応じて、最大0.65%(35%OFF)まで手数料を引き下げるサービスです。手数料が無料になるのは先の話でしょうが、今後も手数料が割安なサービスが増えてくると予想されます。

7.まとめ

資産運用をお任せでできる「ロボアドバイザー」の人気は高まっています。しかし、国内のラップ口座や米国のロボアドバイザーに比べると、まだまだ普及の余地があります。

そのためには、手数料の引き下げが望まれます。米国並みの0.25%は難しいとしても、0.5%を割ってくれば、普及に弾みがつくのではないでしょうか。

また、現在のロボアドバイザー利用者は投資未経験者がほとんどですが、今後は投資経験者にも広まることが予想されます。

その場合は、株や投資信託など他の金融商品とのトータルでの運用を考える必要が生じるため、米国のようにファイナンシャルアドバイザーなどプロのアドバイスに対するニーズも高まり、「ハイブリッド型ロボアドバイザー」がでてくることも予想されます。

ロボアドバイザーはサービス内容を充実させながら、今後も普及していくことでしょう。