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国家プロジェクトのキャッシュレスビジョンで紐解く店舗が電子決済に対応するメリット

2018年に国を挙げた本格的なキャッシュレス化への取り組みが始まりました。

経済産業省は4月に「キャッシュレスビジョン」を策定し、今後のキャッシュレス化への取り組みを発表。現在20%である日本国内のキャッシュレス比率を、2025年までに40%、将来的には世界最高水準の80%にまで引き上げることを目標としたビジョンです。

今回の記事では、キャッシュレスビジョンの概要と今後のキャッシュレス化の課題について解説します。

キャッシュレスビジョンの概要

キャッシュレスビジョンでは、キャッシュレスを「物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態」と定義しています。つまり、キャッシュレス決済とは現金を使わない支払い方法です。主に次の3つの方法があります。

1.プリペイド(前払い)

⦁ 主なサービス 電子マネー(交通系・流通系)
⦁ 支払い方法 タッチ式(非接触)

利用金額を事前に銀行口座などからチャージします。事前に入金しておかないと支払いに利用できません。

2.リアルタイムペイメント(即時振替)

⦁ 主なサービス デビッドカード、モバイルウォレット(スマホ・携帯電話)
⦁ 支払い方法 カメラ読込(QRコード)・タッチ式

リアルタイム取引は、決済をおこなうと、登録してある銀行口座からすぐに支払われる仕組みです。

3.ポストペイ(後払い方式)

⦁ 主なサービス クレジットカード
⦁ 支払い方法 スライド式(IC化)・読み取り式・タッチ式

ポストペイはクレジットカードが主なサービスで、一カ月分の利用額を毎月決められた期日に、まとめて支払う方式です。

出典:経済産業省(PDF)

キャッシュレスビジョンの目的には、以下のようなものがあります。

1.訪日観光客対策
2.消費者の利便性と安全性の向上
3.事業者の生産性向上とコスト削減
4.人口減少に伴う人手不足に対応できる
5.現金管理による盗難のリスクが減る

スマートペイメント活用で一歩リードするSquare(スクエア)

Squareの本社は、Square, Inc.で2010年設立のカリフォルニア州サンフランシスコに本社を構える400人以上を抱えるモバイル決済の大手企業です。

Squareは事業者にカードリーダを無償で提供しているので、このカードリーダにICチップ付きカードを差し込むだけで決済が終了します。また磁器専用リーダーもあるので、磁気カードにも対応しています。(下記画像)

従来のスタイルであるカウンター決済の形でも勿論対応出来ますが、Square(スクエア)は、導入費用がかからず、コンパクトな小型端末なので、中小規模の企業にとっては非常に強い味方になります。

またSquare POSレジもSquare Readerを繋げることで、売上管理が可能となるため、非常に楽です。

2019年10月1日から決済手数料が実質2.16%、および消費者には5%還元が実施されるため、現在導入を考えている企業には追い風になるでしょう。

Square(スクエア)の詳細はこちら

日本のキャッシュレス決済比率

2015年の日本のキャッシュレス決済比率は18.4%

世界各国に比べて、キャッシュレス化は遅れています。キャッシュレスビジョンでは、大阪・関西万博(2025年)に向けて、キャッシュレス化の比率を40%に、将来は世界最高水準の80%まで引き上げることを目標にしています。

世界のキャッシュレス決済比率

2015年の世界各国のキャッシュレス決済比率は以下の通りです。

出典:経済産業省(PDF)

韓国は約9割、中国も約6割とアジアの中でも日本のキャッシュレス決済比率は圧倒的に低いことがわかります。

キャッシュレスビジョンに向けた課題

日本でキャッシュレスが普及しにくい背景として、以下の3つが考えられます。

1.盗難の少なさや、現金を落としても返ってくる治安の良さ・偽札の少なさなどの社会情勢
2.店舗における端末負担コスト、ネットワーク接続料、加盟店手数料などのコスト
3.消費者が現金に対して高い信頼性を持っており、キャッシュレスに漠然とした不安を持っている

この中でも、とくに店舗側の導入が進んでいないというのが大きな問題です。店舗側の課題を具体的に見ていきましょう。

システム導入費用が高い

まず、支払手段で使われる「支払端末」の導入にコストがかかります。キャッシュレス決済の主役であるクレジットカード端末で数万~数十万円するのです。POS(販売時点情報管理)に連動するとさらに高価になります。

出典:経済産業省(PDF)

負担となる決済手数料

クレジットカードの場合、決済代金の約3~5%の手数料が発生します。現金に比べると店舗側の利益が減ってしまうのです。

経済産業省が2016年に実施した「観光地におけるキャッシュレス決済の普及状況に関する実態調査」では、「手数料の高さ」がクレジットカード未対応の理由として一番でした。

出典:経済産業省(PDF)

チェーン展開しているような大企業ならまだしも、個人経営の店舗にとって手数料の負担は大きくなります。中小・零細企業が多い飲食店など、取引件数が少ない・取引金額が低額の層において、クレジットカードによるキャッシュレス支払の受け入れが十分に浸透していない状況があります。

業務プロセスの変更に伴う負担

キャッシュレスは、顧客にとってはポイント還元があったり、現金を取り出す手間がなくなったりするので、利便性は大きく上がります。店舗側も完全にキャッシュレスになれば、レジの業務がなくなるので楽になりますが、現金が一部でも残っている限りほとんど負担は変わりません。

顧客の利便性を上げるために、キャッシュレスを導入する店舗は増えています。

しかし、原材料や人件費の負担が増えている飲食業界において、これ以上利益が減るのは歓迎しないという中小の飲食店が多いのも無理ないのではないでしょうか。

入金サイクルに対する壁

クレジットカードの場合、月末締め翌月入金のサイクルになるため、現金が店舗の手元に入るまで一カ月近いタイムラグが発生します。入金予定があっても手元に運転資金がなく、資金繰りが厳しくなって経営が不安定になってしまうケースもあるのです。

店舗がキャッシュレス決済を導入する利点

このような問題に対し、政府は具体的な方策を定め、順次取り組みを進めています。実店舗におけるキャッシュレス支払い・導入にかかるボトルネック解消としての具体的方策として、「キャッシュレスポイント消費者還元事業」があります。

2019年10月1日の消費税率引き上げに伴い、2020年6月までの9カ月間中小・小規模事業者に対して、キャッシュレス決済手段を利用する消費者へポイントを還元することで、中小企業を支援する事業です。 具体的な支援内容は次の通りです。

1.中小企業の決済端末の導入負担なし(1/3を決済事業者、2/3を国が補助)
2.決済手数料が3.25%以下(さらに国が1/3を補助)
3.消費者へポイント還元(5%)を行うので、集客力アップ
4.レジ締め・現金払いコストを省いて業務効率化

詳細は以下を御覧ください。

出典:経済産業省

中小・小規模事業者がキャッシュレスに対応するメリットは以下の4つです。

①購買単価が高くなる

現金だけに比べると、支払手段が増えることによって購入できるケースが増え、還元ポイントがつけばお得感も高まります。

財布の残高も気にする必要がないので、購買単価が高くなる傾向もあります。決済各社が実施している還元キャンペーンや、消費税増税のタイミングでスタートする5%還元策などによって、さらに購買意欲が高まることも期待されます。

②機会損失の回避

訪日観光客需要の取り込みにキャッシュレス化は欠かせません。経済産業省によると、現金しか使えないことに不満を抱く訪日客は4割にもなります。

2020年に訪日客が4,000万人になった場合、今のままでは約1.2兆円の機会損失となる試算もあります。

キャッシュレス化には決済のできる環境が必要ですが、経済産業省の調査では、都内の飲食店のうちクレジットカードが使えるのは3分の1にすぎません。

「キャッシュレス決済に対応していないから諦めた」という消費者は多くいます。現金以外の支払い方法を提供することで、購入の機会損失を回避できるのです。

③経営や業務の効率化

キャッシュレス決済の導入で業務の効率化や生産性向上が望めます。たとえば、レジの現金残高確認やレジ締め業務、釣り銭の用意など現金を管理する業務の負担が軽減されます。

また、売上も管理ツールで管理できるほか、現金を扱わなくなることにより、レジでの会計作業の時間短縮が可能です。釣り銭の間違いなど人為的ミスも防ぐことができます。

野村総合研究所の調べでは、レジで現金を取り扱う業務の中では、レジ残高の確認作業にもっとも時間が費やされていることがわかりました。

出典:経済産業省

キャッシュレス化が求められている背景に、高齢化と生産年齢人口の減少による人手不足があります。

そのために生産性の向上が必要ですが、とくに小売業者においては、現金の管理や集計といった現金取扱業務に多くのコストがかかっており、この部分の業務効率化を進める必要があるのです。

また、キャッシュレス化を進めることにより、顧客の購買情報を蓄積し、ビッグデータを分析できます。消費者の購買データを活用することで、マーケティングの高度化やサービスの向上を進めらるのです。

④インバウンド対応が可能

訪日外国人の54%がクレジットカードを利用しています。インバウンド需要を取り込むには、キャッシュレス化が不可欠です。

平成28年の訪日外国人旅行者の意向調査では、訪日外国人の約7割が、クレジットカードが利用できる場所が多かったら、もっと多くお金を使ったと回答しています。

とくに訪日客数1位の中国や6位のタイは86%と高い割合になっています。

出典:経済産業省

日本よりキャッシュレス化が進んでいる国からの訪日客にとって、自国ではいつもキャッシュレスで買い物をしているのに、日本ではできないことで、モノやサービスに不満を感じる可能性もあります。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、インバウンド需要は高まっています。世界各国から訪れる観光客の消費を後押しするためにもキャッシュレス決済推進は必要なのです。

政府は大阪・関西万博が開催する2025年に向けて、キャッシュレス決済比率を現在の約2倍の40%に引き上げるという目標を掲げています。キャッシュレス化は、今後も加速していくでしょう。

キャッシュレス決済導入のポイント

キャッシュレス決済手段の利用状況はユーザーによって異なるので、ユーザー層の取りこぼしがないよう複数導入することをオススメします。主なキャッシュレス決済手段は以下の4種類です。

1.クレジットカード・デビッドカード
2.電子マネー
3.モバイル決済
4.QRコード

ただ、どのサービスを導入していいかわからない事業者は、まず「QRコード」決済の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

QRコードとは、以前より使われていたバーコードを拡張するために開発された2次元バーコードです。高速読み取りを重視しており、1994年にデンソー(現:デンソーウェーブ)により開発されました。

電子マネーの決済ツールのひとつとしてQRコードは利用されています。

QR コードを消費者が示す場合には、 商品読み取り用の赤外線スキャナーをそのまま QR コード決済に使っている点がポイントで、店舗側にとっては導入コストを抑えられます。

クレジットカードのような専用端末が入らず、中小店舗にとって導入のハードルは低いのです。キャッシュレス決済を導入する場合、これまでは、専用端末の設置など初期費用の負担にちゅうちょする中小の事業者は少なくありませんでした。

しかし、 QR コードやバーコード決済なら専用端末は不要です。店舗側にアプリが必要なサービスもありますが、基本的にスマホやタブレット端末があれば、新たな費用をかけることなく導入が可能です。

クラウドペイ

出典:クラウドペイ

しかし、QRコード決済の種類もさまざまあります。どれを導入すればいいのか迷う人も多いでしょう。

そのような場合は、クラウドペイの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

クラウドペイとは、一つの QR コードを設置するだけで、さまざまなQR決済を利用できるサービスです。現在、以下の5種類の導入が決まっています。

1.d払い
2.LINE PAY
3.Alipay
4.Wechat
5.メルペイ

クラウドペイを導入すると、これら5種類の QR コード決済を一括導入できるのです。

クラウドペイを導入すれば、複数の QR ・バーコード決済を一括契約して導入できます。

一つの QR コードを店頭に設置するだけなので、レジまわりがすっきりして省スペース。また、 QR・バーコード決済サービスの一括管理できるアプリを提供するので、決済状況の確認やキャンセルをアプリ上で確認できます。

まとめ

今回は、キャッシュレスビジョンの概要と、店舗が電子決済に対応するメリットについて解説しました。 2015年時点の日本のキャッシュレス比率は18.4%。 キャッシュレス化が進展している国では軒並み40~60%であるのに対し、大きく遅れています。

日本人の現金志向が強いことや、店舗側のシステム導入費用が高いことなどから、なかなかキャッシュレスは広がっていませんでした。しかし、2019年10月からの消費税引き上げに伴う「キャッシュレスポイント消費者還元事業」があることや、インバウンド需要の強まりなどからキャッシュレス化に追い風が吹いています。

政府は大阪・関西万博が開催する2025年に向けてキャッシュレス比率を40%、将来は世界最高水準の80%まで引き上げることを目標(キャッシュレスビジョン)に掲げています。今後、ますますキャッシュ化の流れは加速していくでしょう。