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ビッグデータ×AIを使用するAmazonと異なる姿勢のApple(アップル)の戦略とは

Apple(アップル)は、iPhoneという端末だけではなくて、iOSを押さえて、世界中のアプリ開発者がアプリを提供・販売するためのプラットフォームを構築しています。さまざまな企業がスマホを販売する中で、圧倒的な利益を出しているアップルの戦略には独自のものが光ります。

そこで今回は、ビッグデータ×AIを使用する企業と異なる戦略を立てるAppleの魅力を解説していきます。

Apple(アップル)の基本概要

アップルとは、アメリカの大手IT企業の一つです。スマホなどの小型情報機器や関連するソフトウェア、サービスの開発などを行っている会社です。1976年にスティーブ・ジョブズがアメリカ・カリフォルニア州で操業して、コンピュータ業界大手の地位を確立させました。

Apple(アップル)の歴史

かつて、アップルの社名は「アップルコンピュータ」でした。その名の通り、当時はMacintosh(マッキントッシュ)通称「Mac」というコンピューターのメーカーだったのです。今では、ラインナップが豊富に拡大していますが「ものづくりの会社」であることに変わりはありません。

Apple(アップル)の事業別売上比率

アプルの収益構造を確認していきましょう。アップルは、ハード・ソフト・コンテンツ・クラウド・直営店などの事業を展開していますが、売上は主にiphoneを中心としたハードウェア製品から上げている点が特徴的です。

参考:Apple、第1四半期の業績を発表

米中の対立が激化する中、中国での米国製品離れ、アップル製品離れの影響が今後どのように出るかが、注視されることでしょう。

実際に2019年1月にはアップル・ショックが市場を襲いました。同社の株価は急落して、日本株市場にも大きな影響を与えたのです。このアップル・ショックについては、同社が新たなプラットフォームを候陸するまでは、厳しい展開が続くと見なされています。

世界初となる時価総額1兆円ドル越え

スマホは世界の人々の生活に深く入り込み、スマホなしで暮らすことなど考えられないほどに普及しています。そのスマホの中でも、高い存在感を示しているのが、世界で年間2億台も販売されているアップルのiPhoneです。

iPhoneは、2007年の発売から、アップルの業績を牽引し、同社の2018年8月には、世界の企業の中で初めて時価総額が1兆ドルを超えました。2007年当時と比較すると株価は12倍にも伸び、アップルは株式市場において、その企業価値が評価された企業になりました。

Apple(アップル)の強み

Apple(アップル)が市場を牽引できた要因は、次のような強みを持っているからです。

新たなデジタルライフの提案力を持つ

それぞれの時代において、アップルの製品は、携帯音楽プレイヤー市場やスマホ市場、タブレット端末市場を牽引してきました。

アップルが市場をリードしてくることができたのは、アップルが発売しているものが端末ではなくて、その端末を通じて、新たなデジタルライフスタイルを提案してきたからです。

たとえば、iPodの場合、アップルは使い勝手のいい携帯音楽プレイヤーを販売しただけではなくて、無料でiTunesという管理ソフトを提供し、さらに、iTunesを通じて音楽データ配信サービスを提供しました。聞きたいときに、聞きたい音楽が聴ける環境が創り上げられたのです。これは、音楽市場にイノベーションを起こしたと言えるでしょう。

他のスマホと価格競争にならないブランド力

高いブランド価値を持つiPhoneは、他のメーカーのスマホと比較すると利益率が非常に高いことが特徴です。

iPhone以外のスマホが価格競争に走らざるを得ない状況の中で、アップル社は十分に利益が出る価格でiPhoneを売ることができるからです。

世界のスマホ市場の出荷台数を見ると、2017年4月~6月のトップは韓国のサムスンで約7980万台です。アップルは、約4,100万台ですから、出荷台数はサムスンの約半分に過ぎません。しかし、アップルがiPhoneの販売で得た利益は、業界全体の実に91%を占めます。

つまり、世界のスマホ市場の利益はアップルが独り占めしている状況なのです。

Apple(アップル)独自のiOSが搭載されている

iPhoneが他のスマホと異なる点は、アップル製品のみに対応するOSのiOSを搭載していることです。

他社のスマホは、ほとんどがグーグルのスマホ向けのOSであるアンドロイドを搭載しています。

アンドロイドのスマホの多くのユーザーは、グーグルが運営するアプリストア「Google Play」でアンドロイド向けのアプリをダウンロードしてスマホの機能を使い、音楽やゲームを楽しむわけです。つまり、アンドロイドスマホのプラットフォームはグーグルなのです。

その一方で、アップルはiPhoneという端末だけではなくて、iOSも押さえており、iPhoneユーザーは、アップルが運営する「アップルストア」でアプリがダウンロードできます。つまり、アップルはスマホメーカーではなくて、世界中のアプリ開発者がアプリを提供・販売するためのプラットフォームを構築しているのです。

iPhoneやiPad向けのアプリを有料で販売する場合、アプリ開発者はアップルに販売額の3割を手数料と支払う必要があります。

そのため、端末を販売したら終わりというスマホメーカーとはビジネスモデルが異なります。プラットフォームには、アプリを開発するデベロッパーが数百万人、アプリユーザーは10億人以上集まっていて、興奮と活気にあふれた場所に成長しているのです。

Apple(アップル)はプライバシー重視型の企業

アップルは、顧客のプライバシーを重視して個人データを活用しないことを明言している企業として有名です。Amazonや楽天など多くの企業がビッグデータを活用していく中で、なぜ、アップルは顧客データを活用しないのでしょうか?それには、次のような理由が挙げられます。

CEOに就任したティム・クックの人物像

スティーブ・ジョブズの後継者としてCEOになったティム・クックも十分なカリスマ性を持っている経営者です。

クックは、左脳と右脳のバランス感覚を活かして、ジョブズの後継者という強烈なプレッシャーを受けながらも、アップルという世界的大企業の舵取りをしています。クックが持つ「組織力を向上させる能力」はジョブズになかったものであり、この点は相対的に評価すべき点です。

このような魅力を持ったクックですが、CEO就任後にゲイであることをカミングアウトしました。そして、米国における多様性やリベラルの象徴的な存在になりました。今では、クック自身がアップルの1つのバリューとなり、独自のリーダーシップとマネジメントを発揮するようになっています。

企業ミッションは「自分らしさ」の支援

アップルは、ブランド観が明確です。Think differentというメッセージを打ち出していますが、このフレーズから読み取れるのは、アップルは製品やサービスを通じて、人がおのおのの視点を持ち、自分らしく生きることを支援したいという考えを持っているということです。

アップルが持つ「自分らしく生きることを支援する」ことへの強いこだわりは、使命感と呼んでも良いでしょう。

アップルの創業者のスティーブ・ジョブズが1997年に考案して公開されたアップルのCMでも「Think different」が打ち出されました。

CMには、アインシュタイン、ジョン・レノン、バブロ・ピカソといった世の中を変えた天才の映像が流れて「自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから」というメッセージも一緒に流れました。

このCMには、アップルが自社の製品やサービスを通じて、社会に提示したい哲学が溢れているのでしょう。

Apple(アップル)の戦略

今の時代において、消費者から集積したビッグデータを活用しないことは、AI戦略にも大きな影響を与えます。実際に「アップルはAIにおいて出遅れている」と良く指摘されます。

確かに、Amazonなどの他の企業では、協調フィルタリングというAIのアルゴリズムによって、自分の興味のある商品を推奨するメールが届いてくる一方、アップルは消費者に対して一律に商品・サービス紹介のメールを送ってくるだけなので、センスがないと思うこともあるかもしれません。

しかし、自分の個人データが、さまざまな場面でテクノロジー企業に取得されていると体感する場面が増えてきた中、アップルの姿勢は今後、再評価されるだろうと予測しています。

個人情報保護に徹底して信用力を上げる

アップルのiPhone XとiPad Proには、フェースID機能が搭載されています。

このフェースIDは、便利である一方で、自分のプライベートな生活やありのままの姿がそこで記録されているかもしれないと意識する場面が多々あります。それでも、多くの人が製品を使用している理由は、アップルが個人データの活用をしないと明言しているからでしょう。

決済アプリなどを利用する際も、利便性以上に重要なのは、信頼性や安心感なのではないでしょうか。

自分のクレジットカード情報を提供して、自分の銀行口座にまで紐づけて金融取引を行うとなると、信用における企業に任せることはできないからです。

個人情報保護に徹底して信用力を上げるアップルは、金融サービス・医療サービス・業務用サービスなどで信用力がより重要となっている昨今、アップルを再評価する動きが出てくる可能性が高いのではないかと予測できます。

Apple(アップル)の今後の展開

ビッグデータを活用しない方針を示しているアップルですが、今後はアップルウォッチで、ヘルスケア市場にてイノベーションを起こすのではないかと言われています。ここでは、アップルの今後の展開についてご紹介します。

アップルはヘルスケア市場に参入

アップルのヘルスケア戦略を支えているのが、スマートヘルスケアのエコシステムとしての「HealthKit」です。

ここには、アップル製品から取得された個人の医療・健康データのほか、病院のカルテなどの情報が蓄えられていきます。

自分でこれらのデータを確認できるほか、医療機関とのやり取りにも使用される予定です。また、アップルは、ヘルスケア関連のリサーチプラットフォームとして、ResearchKitを既に事業展開しています。このように、アップルはヘルスケア市場に参入を試みている企業なのです。

アップルウォッチは医療機器化へ

アップルウォッチはシリーズ4からECG(心電図)を搭載して、事実上、医療機器と呼べる水準にまで、ヘルスケア管理機能を進化させています。このシリーズからは、ハードウェア構造が新たな段階に突入し、健康管理、医療管理のウェアラブル機器としての性格を強めています。

実際にアップルは米国FDAから、限定的な医療機器としての認可も取得しているのです。ヘルスケアの機器と言えば、歩数や運動時間が表示されるものが一般的ですが、心拍数や心拍変動などが表示されて、異常値が出るとリアルタイムにメッセージが届くようになりました。

まさに、健康管理から医療管理へと進化してきているのです。

アップルクリニックを展開

アップルウォッチには、心電図機能のほか、血圧測定機能、血糖値測定機能まで搭載していくことが計画されています。

また、アップルは、リアルな病院やクリニックである「アップルクリニック」を事業展開していくという流れです。アップルは、既に自社製品も活かした社員用のクリニックを展開していることが知られています。医療分野において重要なのは、信頼性や安心感です。そのため、ヘルスケア市場への参入は、信頼性や安心感を大事にするアップル社ならではの戦略と言えるでしょう。

まとめ

今回は、アメリカのコンピュータ業界大手の地位を確立しているアップル社について解説しました。

大手企業が、ビッグデータを活用する中で、アップル社は個人情報を活用しないと明言しています。このような他社と異なる方向性は、信頼感や安心感を生むことでしょう。決済アプリなどを利用する際も、利便性以上に重要なのは、信頼性や安心感なのではないでしょうか。

個人情報保護に徹底して信用力を上げるアップルは、金融サービス・医療サービス・業務用サービスなどで信用力がより重要となっている昨今、アップルを再評価する動きが出てくる可能性が高いのではないかと予測できます。今後の動きに注目をしてみましょう。