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フィンテックを加速させる5G(第5世代移動通信システム)を徹底解説

2020年の実用化に向けて注目されている技術が5Gです。5Gという言葉を聞く機会も増えてきました。

この記事では、5Gとはどのような技術なのかを、未来に起こりうる変化とともに解説します。

携帯通信の歴史

5GのGは「Generation(世代)」のことです。つまり、5Gはモバイルネットワークの第5世代技術のことで、一般には「第5世代移動通信システム」と呼ばれます。1980年代に誕生した第1世代(1G)から、最大通信速度は30年間で約10,000倍になっています。

出典:総務省

これまで移動通信システムがどのように発展してきたのかを、具体的に見ていきましょう。

1980年代

最初の携帯電話は、日本・米国・欧州などで各国の事業者が独自に開発を進め、アナログ無線技術の地域別使用が策定されて商用化されました。それが、アナログ無線技術のモバイルネットワークである「1G」です。

1990年代

「1G」はアナログ方式でしたが、1990年代に誕生した「2G」でデジタル化されました。無線技術がデジタルになると、データ通信サービスの提供が容易になり、携帯電話が急速に普及。2GではNTTドコモのmova(ムーバ)が代表的です。

1999年にNTTドコモはiモードの提供を開始し、各種情報提供やメールを携帯電話で使えるようになりました。

2000年代

2Gでもデータ通信は可能でしたが、低速のため文字主体の通信でした。しかし、高速データ通信が可能になったのが「3G」です。3Gは携帯の電話回線で、通話以外にもメールやインターネットに利用できます。現在の4Gに比べると非常に遅い通信速度ですが、画像などの送受信も可能になりました。

3Gは現在も使われています。スマホやモバイルWi-Fiは4Gが優先して接続されますが、電波が届かない場所では、自動的に3Gに接続されます。3Gは国内の人口カバー率がほぼ100%なので、4Gの圏外でもネットの利用が可能なのです。

2010年代

2010年代になると、3Gをさらに高速化した「LTE(Long Term Evolution)」が誕生。現在のモバイルWi-Fiでは、このLTE回線が主流です。LTEは厳密には4Gではありません。3Gから4Gへとつなぐ中間技術として、「3.9G」を呼ばれています。

時代は3.9Gに位置づけられるLTEから4G回線に変わりつつあります。4Gはスマートフォンのためのモバイルネットワーク技術です。

2020年代

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目処に、総務省は5Gの通信インフラ整備を進めています。5Gがターゲットとするのは、「2020年代の社会を支えるモバイルネットワーク」。

5Gの通信速度は、現在のLTEの約10倍になることが見込まれています。さらに、大容量化・低コスト・多数の端末接続対応など幅広い性能を持つネットワークを目指しています。

4Gがスマートフォンのための技術だったとすると、5Gはすべての端末とアプリケーションのための技術といえます。2020年代には通信料が現在の1,000倍以上に増大すると予想されており、高度情報社会に対応できるよう国を挙げて5Gの実現に取り組んでいるのです。

5Gで実現できること

5Gに注目が集まっているのは、通信速度が速くなるだけではなく、信頼性の高い低遅延通信が可能になることです。自動運転分野での利用や、ロボット・ドローンの遠隔操作が可能になります。

さらに、5Gは一つの基地局に大量の端末が接続できるため、 IoT分野での利用も可能になります。IoTとは、「Internet of Things」の頭文字を取った単語で、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながる仕組みのことです。

たとえば、「広範な地域に配布された大量のセンサーからのデータ収集」といった用途も可能になるのです。

出典:総務省

高速・大容量化

現在はLTEの普及が進み、移動通信システムの高速化や大容量化が図られ、当面はユーザーのニーズを満たすと考えられます。しかし、通信速度は100Mbps~1Gbps程度。これが5Gになると最大100Gbpsとなり、現在の100倍以上になります。

ウェアラブルデバイス(装着・着用できる端末)の本格的な普及や、4K・8K動画に代表される動画コンテンツの大容量化が進みます。娯楽だけではなく、医療やセキュリティ・教育などにも動画コンテンツのニーズはより高まると予想されます。

4Gで10秒かかるデータ通信も、5Gなら0.1秒未満。動画コンテンツの表示やダウンロード時における待ち時間が限りなく少なくなります。5Gを利用すれば、大容量コンテンツをユーザーが快適に利用できるようになるのです。

超多数末端接続

IoT の普及に伴い、これまでのスマホやパソコンだけでなく、ワイヤレス通信を利用する機器が増えています。電力やガスなどのメーターに対する通信モジュールの設置は、現在普及段階にあり、農業や建物に対するセンター設置に対する要求も高まっています。

今後は、自動車・電車などの輸送機器に対する移動通信の期待は高く、自動運転を含むドライバーのサポートや安全性の向上が望まれます。また、ウェアラブル端末など人に対する通信手段も多様化していきます。

5Gではこのような要望を満たすため、現在の100倍以上の端末接続をサポートすることが要求されているのです。

超低遅延・超高速信頼性

4Gでも数十ミリ秒程度の低伝送遅延を実現できていますが、5Gでは1ミリ秒以下に改善。しかし、対車通信による自己通信やロボットの遠隔制御などでは、99.999%の高い信頼性が求められます。

5Gでは遅延が少なくなることでリアルタイムにデータを送受信できるようになり、画像や音のズレが少なくなります。遅延が少なくなればなるほど有用性は高まるのです。

ただし、低遅延・高信頼性の実現は技術的に可能であっても、ネットワーク構築費用を考えると非現実的で、特定のケースでのみ実現可能とするなどの考慮が必要となります。

5Gのある未来の生活

これまで、Webサイトは文字や静止画像がメインでしたが、最近は動画コンテンツが増えてきました。しかし、現在の4Gでは通信速度に制限があるので、動画がモタついたり、重く感じたりしてしまいます。

しかし、5Gになれば動画もサクサク動くようになり、現在の動かないコンテンツでは満足できない時代になる可能性もあります。

また、将来はダウンロードという概念自体もなくなり、デバイス容量を減らすことなく気軽に大容量データを扱えるようになると予想されています。

5Gが普及すると自動運転やドローンなど現在の最先端技術がさらに進化します。5G時代になるとどのように生活が変わるのか具体例に見ていきましょう。

事例①:自動車

自動車分野で5Gが期待されるのは自動運転です。これまでの運転は、カーナビを見ながら人が操作するのが主流でした。自動ブレーキなどのサポート機能も、基本的には自動車本体のセンサーによって行われています。

しかし、5Gによって状況は大きく変わります。位置情報や渋滞情報・周辺の様子などをビッグデータで解析し、ネットワークで管理することによって、安全な自動運転が実現するからです。

自動運転によって車が自律的に道路状況を判断して走行し、先行車の情報や混雑状況も把握します。ルートを最適化することで、時間の短縮や省エネも実現可能に。

万が一のときは、遠隔操作も可能です。運転においては、わずからミスも命にかかわります。遅延による通信タイムラグが少なく、同時接続に強い5Gが自動運転の発展を促すのです。

事例②:ドローン

5Gの登場によってドローンも大きく進化すると見られています。超高速・超低遅延・多数同時接続という特徴が、提供可能なサービス範囲を大きく広げるからです。

より広範なエリアでリモート操縦が可能になり、宅配だけでなく橋梁や道路の保守点検など、ドローンの活動範囲はさらに広がっていくことが期待されています。

事例③:造成・建築

すでにドローンで測定を行い、ショベルカーやダンプカーが設計図面に従って高精度に造成を行うシステムも実用化されています。5Gの登場でGPSも高度化され、重機の操作や現場監督も遠隔でできるようになるかもしれません。

事例④:遠隔手術

医療分野で期待されているのが、遠隔地からの手術です。これまでは、手術が必要な病気であっても、寝たきりだったり離島に住んだりしていると、大きな病院に行くことは困難でした。

しかし、5Gで遠隔操作が可能になると、離島にいながら都市圏の専門医の施術を受けられるようになります。すでに、5Gを使った医療分野の実証実験も実施されています。大都市に住んでいなくても、質の高い医療が受けられるようになるのです。

事例⑤:8K映像の伝送

エンタメ分野での5G利用も期待されています。

現在の4K映像の伝送には20Mbps前後の帯域が必要とされていますが、8Kではさらに2倍程度が必要になるといわれています。

5Gなら平均100Mbps(最大10Gbps)が可能なので、8K伝送の普及につながりそうです。5Gは映像の高精細化も可能にします。

事例⑥:ホームセキュリティ

子供がいる家庭にとって、もっとも気になるのは安全でしょう。防犯ブザーやGPS携帯があっても、子供が何をしているのかまではわかりません。5Gを使えば、GPSとセンサーを組み合わせて、子供の状態を常に把握できるようになります。

また、2035年には総人口に占める高齢者の割合は33.4%となり、3人に1人が高齢者の時代になります。そんな中、厚生労働省は認知総患者数が2025年に700万人を超えると推計しています。

5Gを利用したウェアラブル端末とアプリなら、リアルタイムで位置情報や健康状態を把握できるようになります。医学的根拠に基づいて歩行速度の変化を継続的に測定し、認知症の予兆を知らせてくれるアプリの開発も進められています。

5G時代にはより高性能なアプリが誕生するでしょう。

また、子供や高齢者だけでなく、ペットの様子を把握したり、家の状況をモニターしたりすることも可能です。ホームセキュリティの分野でも、5Gに対する期待は高まっているのです。

5Gが導入される時期

総務省は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにむけて5Gの実用化を目指していて、主に次の3つを柱として推進しています。

⦁ 第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)による活動

第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)は、5Gの早期実現を図るため、5G関連の研究調査・情報収集・普及啓蒙活動を行っています。ホームページには、5G関連ニュースやオピニオンなども掲載されています。

⦁ 産学官連携により、5G関連技術の研究開発を推進
⦁ ITU等における5G標準化活動

ITUとは、「International Telecommunication Union」(国際電気通信連合)のことです。無線通信部門であるITU-Rでは、5Gの国際化標準を念頭に置き、IMT-2020無線(第3世代移動通信システム)インターフェースの標準界に向けた作業を開始しています。

中国のZETが1番乗りで5Gを販売

出典:中興(ZTE)

2019年8月5日、中国の通信機器メーカー中興(ZTE)が中国市場で初めて5Gスマホを発売しました。価格は4999元(約7万5000円)。

ZTEの動きは、5G時代の到来を実感することになりました。

中国の5Gの経済効果は巨大です。通信インフラへの投資だけで20兆円に達するほか、スマートフォンの販売も大きく後押しします。ファーウェイ・レノボ・グループ・OPPなども5G対応のスマホを発売する予定です。

中国政府系シンクタンク「中国情報通信研究院」によると、5Gは30年までに16兆9千億(約260兆円)の経済効果と、2千万人近い雇用創出効果があると試算しています。

まとめ

2020年の実用化に向けて注目が集まる5G。スマホやタブレット端末だけでなく、自動運転やホームセキュリティ・その他IoT分野など幅広い分野への活用が期待されています。本格的な普及には時間がかかるかもしれません。

しかし、2025年ごろには、自動運転や遠隔医療が当たり前のように受け入れられているような生活が実現している可能性もあります。

大きく世の中の仕組みを変える可能性のある5Gに、今後ますます注目です。