Home > 最新の記事 > ファンドライズなど次世代の不動産クラウドファンディングが続々登場

ファンドライズなど次世代の不動産クラウドファンディングが続々登場

不動産投資の新たな形として、クラウドファンディングが市民権を得つつあります。プラットフォームを運営する事業者の数は既に15を超えて、ケネディクスなど大手も参入を決めました。

ネットならではの機動性と小口投資の手軽さを備え、REITに次ぐ、個人向けの不動産商品として大きく育つ可能性を秘めています。ここでは、新しい不動産投資を紐解いていきます。

クラウドファンディングで不動産投資は身近に

金額の大きさ、流動性の低さから、本来は最も個人の手に届きにくい投資対象である不動産。

その流通手段として、クラウドファンディングは優れた特徴を兼ね備えているのです。多くの点でREIT(不動産投資信託)と似た小口投資商品であり、現物不動産投資ほど、まとまった資金も専門知識も必要ありません。

その一方で、株式相場の影響を受けにくく、安定運用しやすいため個人の資産形成に向いています。

スマートフォン上での募集に力を入れる事業者も多く、会員登録から投資の申し込みまで、ほとんどの手続きがネット上で済むのも1つのポイントです。

日本国内でも個性的な投資案件が続々と登場

米国では既に100社を超える事業者が誕生していますが、日本国内でも15社を超える事業者が誕生しています。今のところは、スタートアップ企業が主役となっていますが、最近では大手不動産プレーヤーの中からも本格参入を検討する動きが出ています。

一番乗りを図るのは、不動産ファンド運用大手のケネディクスです。

出典:ケネディクス

同社は、2017年8月、野村総合研究所とともに、新会社、ビットリアルティの設立を発表。2019年初めを目途に、不動産の投資型クラウドファンディングのサービスを開始する予定となっています。

政府も、フィンテック産業育成の一環として、相次ぐ法改正により民間の動きを後押ししてきました。

インターネットの資金募集を解禁した改正金融商品取引法の施工から約2年半。同様の規定を盛り込んだ不動産特定共同事業法が2017年12月に施行されました。

日本初の不動産クラウドファンディングとは

貸付による手法で、いち早く不動産クラウドファンディングを立ち上げたのがロードスターキャピタルです。

出典:ロードスターキャピタル

ゴールドマン・サックス出資者らが2012年3月に設立した不動産投資会社で、2014年9月から国内で初めて不動産に特化したクラウドファンディングであるOwnersBookというサービスを展開しました。

不動産担保付きのシニアローンやメザニンローンに投資し、そのリターンを還元するというビジネスモデルであり、最小投資額1万円から個人投資家を中心に集めており、年間予想利回りは5%となっています。

2017年9月に東証マザーズ市場に上場しています。

米国では超大型不動産クラウドファンディングが登場

米国では、企業が証券取引委員会の登録なしに有価証券を発行して資金調達する場合、資金提供者は適格機関投資家などに限定されていました。

しかし、2012年4月に制定されたJOBS法によって、個人投資家もインターネットを通して小口の資金を投資できるクラウドファンディングが解禁されたのです。

ケンブリッジ大学の調査報告によると、米国には、既に125以上の不動産クラウドファンディングのサイトが開設されています。

その中でも、最も早く不動産系クラウドファンデフィングを立ち上げたのが、ワシントンDCで不動産会社を経営する父の下で育った2人兄弟が設立したFundrise(ファンドライズ)だったのです。

同社の投資エリアは、拠点を置くワシントンDCのみならず、ニューヨーク、シアトル、ロサンゼルスまで拡大し、対象アセットも賃貸住宅、分譲住宅、オフィス、店舗までさまざまな案件を取り扱っています。

また、投資形態も出資のみならず、メザニンデットやシニアデットも取り扱っており、幅広い資金調達に成功している会社です。

大手デベロッパーと提携したファンドライズ

出典:FUNDRISE

クラウドファンディングのブームを見越して、いち早く提携の動きに出た大手デベロッパーがいます。ニューヨークを拠点に国内外で延べ床面積900万㎡以上の不動産を所有しているSilverstein Propertiesです。

同社は、クラウドファンデフィングを将来の重要な資金調達手法として位置付けて、2014年5月にファンドライズも対して、3,100万ドルを出資。

2015年1月には、2001年に同時多発テロで崩壊したワールドトレードセンターの再建プロジェクトとして、2018年の竣工を目指して開発中のタワー3の資金の一部をファンドライズで募集しました。

ビルの総事業費25億ドルのうち、200万ドルのシニアデットを最小投資単位5000ドル、グロスIRR5.0%、投資機関5年の投資商品に仕立てました。

トランプ大統領の娘婿が手掛ける超富裕層向けサービス

ニューヨーク・クイーンズ区。マンハッタンまで30分の通勤圏に位置するアストリアの街は、大手不動産ポータルサイトStreetEasyによるNYC Hottest Neighborhoods2017年にも選ばれた上昇中のエリアです。

この地区で、2017年6月に6000万ドルでばいばいされた143戸の賃貸住宅の飼い主が、現地で集めているのです。そのスタートアップ企業の名前はCadre。

創業者は、トランプ大統領の娘イヴァンカの夫であり、ロシア疑惑でもメディアの注目を集めたJared Kushnerらが立ち上げました。このカドルは、真の富裕層のみをターゲットにしたクラウドファンディング・プラットフォーム。

出典:BBC NEWS

同社は、創業資金として、電子決済サービスPayPalの創業者で有力なエンジェル投資家として知られるPeter Thiel、中国最大の電子商取引企業、Alibabaの創業者であるJack Marのほか、ニューヨーク不動産大手SL Greem Realtyなどから68万ドルを集めることに成功しました。

カドルの独特な戦略

米国では、今や乱立義務の不動産クラウドファンディング・プラットフォームですが、その多くは多数の小口投資を集めることに注力したものです。こうした中で、富裕層に的を絞ったカドルの戦略はユニークなものと言えるでしょう。

投資口は、クラウドファンディングでは異例の大口となる50万ドルから数百万ドルと高額です。しかし、これまでに、100人以上の投資家が複数の物件に投資をしています。

運営面では、他のクラウドファンディングと異なり、資金の貸主と借主をマッチングさせるのではなく、自らがアクイジョンやアセットマネジメントを行っています。

そのため、同社にはアクイジション担当としてBlackstone Group、不動産投資大手Starwood Capital、金融機関大手J.P.Morganなどの出資者を揃えました。

また、技術担当にはグーグル、フェイスブック、モバイル決済大手スクエアなどの出資者が次々と参加。

彼らは、豊富な経験を持つメンバーが、これまでに培ってきた人的ネットワークを駆使してオフマーケットの優良物件を次々と取得しており、綿密なデューデリジャンスの下で購入価格を決定し、投資家を募集しています。

その姿は、まさにデジタル版不動産投資ファンドと言えるでしょう。

不動産クラウドは第二世代へと進化

国内の不動産クラウドファンディングのほとんどは「貸付型」、つまり個人投資家の資金をプールして、不動産担保ローンの形で企業に資金を供給するスタイルが一般的でした。

あらかじめ予定利回りが決まっていて、それを上回る利益は運委事業者が獲得できるというようなスタイルだったのです。

この貸金業法に基づく貸付型のクラウドファンディングについては、金融庁が貸付先の匿名化を行政指導しており、物件名などの詳細を明かして資金募集できないという課題があったのです。

また、このような課題がありながら、さまざまな企業が行政処分を受けるなど、水を差すような問題が相次ぎました。

貸付型の課題を解決する投資型クラウドファンディング

これに対して、米国の企業が扱うのは投資型と呼ばれるクラウドファンディングサービスとなります。年率5%~10%の利回りを想定しています。

一般的な不動産投資同様で、アップサイドが見込めるのです。そのため、貸付型クラウドファンディングを手掛けていた企業は、投資型も展開する動きが出ています。

このことは、各事業者がSPCを活用した、より安全な投資スキームへの移行を進めるキッカケになりそうです。

改正不特法のほかにも、信託受益権化やコンプライアンス対応コストが吸収できるプレーヤーでは、金商法のGK-TKスキームを活用する例も出てくることが予想されています。

まとめ

日本国内では寄付型や貸付型のクラウドファンディングが主流となっていますが、米国では投資型クラウドファンディングの企業が増え続けています。米国の不動産投資でも、特に注目しておきたいのがファンドライズです。

個人投資家が小口の資金で超大型物件に投資ができるクラウドファンディングは、次世代の投資方法と言っても過言ではありません。

ワールドトレードセンターの再建プロジェクトなどに投資ができ、高配当も付くとなると、そのプロジェクトに携わる人すべてがWin-Winの関係が結べますね。

フィンテックは、国内より米国や中国が進んでいますが、不動産クラウドファンディングを計画している方は、米国の不動産クラウドファンディングの事情を知っておくと、より良いサービスが開発できるに違いありません。

ビジネス感度が高い方は、今後の不動産クラウドファンディングに注目しておきましょう。