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スマート社会を実現する5Gと次世代ワイヤレス技術を徹底解説

スマート社会を実現する5Gが誕生して大きな話題を集めていますが、スマート社会を実現する5Gとは、どのようなものなのでしょうか?ここでは、スマート社会を実現する5Gと次世代ワイヤレス技術について徹底解説します。

今後のビジネスに大きな影響を与える最新技術のため、基本的な概要は抑えておきましょう。

5G誕生までの歴史

移動体通信用の無線ネットワーク、すなわち携帯電話ネットワークは、約10年ごとに世代交代に相当する進化を遂げてきました。1980年代に登場し、アナログ無線方式を採用した1G(第1世代)は、1990年代に入るとデジタル無線方式の2G(第2世代)に生まれ変わり、メールなどモバイルデータ通信の普及に貢献。

1999年に仕様が策定され、日本でも2001年にサービスが開始された3G(第3世代)では、それまで国ごとに仕様がばらばらであった2Gの反省を踏まえて、世界中どこからでも携帯電話1台で電話やメールを利用できるようになりました。

インターネットの利用や写真付きメールのやりとりが拡大すると、高速・大容量通信へのニーズは高まり、2010年代には4G(第4世代)が登場しました。

2018年6月には、業界団体の3GPPによって、次世代モバイル通信仕様の「release15」が策定され、国際連合の専門機関であるITU(国際電気通信連合)は「5G Phase1」として承認しました。この仕様に基づき、現在、世界中の通信事業者が5Gサービスの準備に取り掛かっています。

次世代ワイヤレス技術の登場

形態電話ネットワーク以外の無線技術の変革が始まっています。

とくに、人だけではなくモノやネットワークにつながるIoT(Internet of Things)時代の到来が期待される中、工場や倉庫などにある機器の管理や自動運転支援、ホームセキュリティなど、さまざまなアプリケーションに対応する無線技術が求められているのです。

これらのニーズに応える無線技術として、LPWAや新方式のPAN技術が登場し注目されています。

LPWA(Low Power Wide Area)

LPWAは、低消費電力で電波に伝達距離が数kmから数重kmの無線技術の総称をいいます。

PANを代表する通信方式としてはBluetoothがあります。Bluetoothは、2009年に発表されたバージョン4.0以降、低消費電力仕様の「BLE」が追加され、リアル店舗付近でプッシュ通知を行うビーコンなどで利用が拡大。

現在、スマートホームやホームセキュリティ、スマートメーターなどへの利用シーンを想定した、さまざまなPAN通信方式が提案され、利用が始まっています。

事例:Quality Guard

出典:Quality Guard

ベルギーのQuality Guard(クオリティガード)は、B2B向けプラットフォーム「クオリティガード」をSaaSとして提供しています。食品衛生管理は、顧客の安全にかかわる重要な課題です。同社は、レストラン経営者や中小の卸業社に対して、食料品の受発注に加え、行政に提出する品質証明書類の作成を支援するサービスなども提供し、顧客の獲得に成功しています。

同社は、サービス提供開始後、4年間でベルギーのレストラン経営者など生鮮食料品を扱う企業や個人事業主の5万社が利用しています。

同社は、食の品質管理をするため、ベルギーのPROXIMUSが提供するLoRa WANネットワークサービスとActilityのIoTプラットフォーム「ThinkingPark platform」を活用し、コールドチェーン(低温物流)の管理の仕組みを自社サービスに追加。

現在、ベルギーだけで4,000以上の温度センサーが稼働しており、800以上の顧客がサービスを利用しています。LoRaWANネットワークは920MHz帯の周波数を利用しています。

電波の回り込み特性は1.8GHz帯や2.6GHz帯を利用する形態電話ネットワークよりも優れているため、場所に関係なくレストランの冷蔵庫の温度センサーにアクセスができるのです。異常を検知すれば、システムがアラートを発するため、レストランの所有者は損害が発生する前に対応を取ることができます。

しかも、温度情報の集計は自動化され、デジタル情報として蓄積されるため、顧客は事務作業を大幅に軽減することができるのです。

ハイブリッドワイヤレス

今後注目すべき破壊的な技術の1つとして「ハイブリッドワイヤレス」が上げられています。この技術を活用すれば、企業は5GやLPWAなど複数の無線技術を同時に、かつシームレスに活用して、ビジネスのアジリティを高めたい、新サービスの創出を実現したりしています。

期待が高まる5G

5Gは、これまで述べてきたスマホに加え、電化製品や自動車、各種センサー端末などがつながったスマート社会を支える通信ネットワークとして期待されています。この5Gは、3つの特性を持っています。

大量のデータ通信を実現する高速モバイル通信

5Gでは、4Gの100倍の下り通信速度20Gbpsへの速度アップが見込めます。

そのため、大容量の映像コンテンツであっても、数秒で伝送可能であり、4Kや8Kに対応した高精細テレビやVRなどに利用可能です。

大量のセンサー端末をネットワークに同時接続可能

4Gでも1k㎡当たり10万台の端末を接続できる能力を有していましたが、5Gになると10倍の100万台のセンサーが収容できます。

無線区間の通信遅延を1ms以下に抑えつつ通信を実現

5Gは、無線区間の通信遅延を1ms以下に抑えつつ、パケットデータ通信の送信成功率を99.999%以上に実現します。

ITロードマップ

日本におけるLPWAは、Pocから実用化に向けて動き始め、さらには新しい通信方式も登場していることから注目が集まっています。ここでは、次世代ワイヤレス技術のロードマップをご紹介します。

2018年:LPWAの活用はPoCからの実用化へ

LPWAは、さまざまな方式が登場し、実証実験から実運用に向けた取り組みへと拡大しています。

また、大手通信事業者に加え、ソラコムのようなMVNOがLPWAとワイヤレスIoTのワンストップサービスを提供するなど、無線ネットワークを用いた企業のIoTを支援する動きも開始しています。

5Gは、通信事業者による新しいサービスの爽秋が始まっているのです。大手通信事業者3社は、企業と共に5Gの新たな活用を模索する共創プログラムのプロセッサーを通信機器メーカーに提供するインテルは、台湾のHTCと協力して5Gに対応したVRのヘッドマウントディスプレイを試作しました。

5Gの高速通信性能と放送事業は相性が良いのです。映像事業における5G活用のさまざまな取り組みが拡大しようとしています。

2019年:5Gサービスが開始

LPWAは、4Gの利用を検討した場合に通信コストがネックとなった導入を断念していた企業、あるいはPHSを利用してきた企業を中心にIoT利用が拡大します。

とくに、検針作業や設備の監視のように監視対象が大量に存在し、人前では時間とコストを要する作業に多大な効果があるのです。端末が送信するデータの通信頻度、1回当たりのデータ量が少ないからです。その他、子供や高齢者の見守りなど、課題が明確なシーンでの利用も期待されています。

2019年夏には、5Gのプレサービスが日本で始まります。日本における5Gサービスのターゲットは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックです。大勢の人々が集まるホットスポットにおいては、スマホの膨大なトラフィッが発生します。

こういうシーンに対して、5Gの高速・大容量の特性が生きるのです。

さらに競技場内や周辺施設で観客は、VR機器を使用して、選手や審判の視線を共有し、まるで自分がフィールドにいるかのような臨場感溢れる体験ができるようになっています。東京オリンピック・パラリンピックは5Gを基盤としたサービスの格好の披露の場なのです。

2022年:5G発展期

LPWAは利用シーンの拡大が期待されます。利用エリアも農地や工場といった点的な展開から、都市部や広範なエリアに拡大していくでしょう。5Gは、エリア拡大に向けたインフラ整備の真っただ中にあります。

4G、すなわちLTEが、サービス開始から全国展開まで4~5年を要したことを考慮すると、この時期の5Gは、利用ニーズが比較的高い都市部から、郊外・地方へとエリアを拡大していく段階です。

この時期、URLLCやmMTCの機能を活用したアプリケーションが徐々に広がっていくでしょう。重機の遠隔操作や遠隔診療など、ミッションクリティカルな業務での5Gの活動も視野に入ります。コネクテッドカーは、5Gのキラーアプリケーションとしての期待が高いです。

ただし、コネクテッドカーで実現する機能のうち「自動車と道路」「自動車と信号機」など、自動車とモノとの通信仕様である「V2X」の4G向け仕様が策定されたのは2017年3月、実用開始は2020年以降です。

そのため、5Gの利用はその先になります。5G-V2Xが実現すれば、高速移動でも超低速遅延の通信が可能となります。自動運転の安全性向上や付加価値サービス提供への5Gの貢献が期待されているのです。

まとめ

2019年夏にデビューをした5Gですが、その効力を発揮する最初の場が、東京オリンピック・パラリンピックとなる予定です。

大勢の人が賑わう会場で同時にネットワークが接続でき、VRを活用した臨場感溢れる観戦が可能となるので、これまでのスポーツ観戦に大きな影響を与えるでしょう。また、ホームセキュリティなど、さまざまな技術に5Gが活用されていきます。ビジネス感度が高い方は、今後の動きに注目しておきましょう。