Home > 最新の記事 > [前編]2025年の情報通信技術のトレンドはこう来る!?2019年までの総括

[前編]2025年の情報通信技術のトレンドはこう来る!?2019年までの総括

人工知能(AI)の活動領域が拡大する中で、ビジネスや働き方は大きく変わろうとしています。情報通信技術は5年後の2025年には大きく変わっていることでしょう。ここでは、2025年に向けて開発されている情報通信技術のトレンドについて詳しく解説します。

前編では、トレンドを紹介する前に2019年までの総括をしていきます。まずは、こちらを基本として押さえておきましょう。

人工知能(AI)

人工知能(AI)による認識系の処理には「音声認識」「画像認識」「自然言語処理」の3つの領域があります。各領域を支えているのは、ディープランニングという技術であるが、各領域の技術的成熟度には差が出ているのです。

音声認識は、標準的なコンペティションである※1「CHiME」の結果において、すでに人間と同等の認識率を示しているため、実用化レベルにあると考えられています。

※1 従来技術では困難とされるシビアな雑音環境下での音声認識を可能とするために、挑戦的な共通課題を設定し、世界のトップ研究機関が最新技術成果を評価しあう国際イベント

画像認識は、自動運転の技術開発が牽引し、実用化レベルに近い技術が多く生まれているものの、複数の物体認識や動画に対する意味理解など、まだ実用段階ではない領域が多いため、実用化レベルと研究レベルの間にあると言えるでしょう。

自然言語処理は、翻訳など特定の作業で活用する機会が増えてきていますが、接客対応などはできません。

人工知能の課題

日本のAI活用に向けた課題として、真っ先に挙げられるのは「AI人材」の不足です。

研究者不足が話題になることが多いが、製造業や流通業という産業の国際競争力の観点では、企業におけるAI人材不足がより深刻な問題です。

自社製品・サービスに取り込むことができる技術者と多様なAI技術の研究・活用ともに欧米や中国に後れをとってしまっている日本では、この2種類の人材の充足が必要不可欠となっています。

AIアシステタントデバイス

近年、ユーザーインターフェースは、より直観的かつ自然な動作で操作するNUI(Natural User Interface)の利用が増えてきています。中でも有望視されているのが、VUI(Voice User Interface)です。きっかけの1つは、人工知能(AI)を活用した音声入力によるAIアシスタントの登場です。

たとえば、アップルの「Siri」やグーグルの「Google Assistant」、マイクロソフトの「Cortana」などが挙げられます。認識精度が高まったAIアシスタントを搭載した新たなデバイスが今、さまざまなシーンで活用され始めています。

AIアシスタントデバイスの普及が最も進むと予想されているのが、一般家庭です。実際にアマゾンは、Alexaと呼ばれるAIを搭載した「Amazon Echo」を一般販売しました。

また、一般家庭と並んで、ホテルの客室や受付などでも活用が進むと考えられています。米国スタートアップ企業のVolaraは、ホテル客室に設置したAmazon Echoを利用して、宿泊客からの質問やリクエストに対応する簡易コンシェルジュサービスを提供しています。

宿泊客は、Echoに問いかけることで、ルームサービスの依頼、おすすめのレストラン情報、客室内のテレビや照明のオン・オフ、チェックアウト時刻の確認などのサービスが受けられるのです。

AIアシスタントの課題

AIアシスタントデバイスに限る話ではないですが、インターネットに常時接続されているデバイスである以上、ハードウェアの不具合やソフトウェアの脆弱性を突いた悪意のある攻撃による情報漏洩の危険性はゼロではありません。

また、不正な目的で利用されたりする懸念も残ります。AIアシスタントデバイスを提供するベンダーは、ユーザーのプライバシーに配慮した音声データの活用のルールや仕組みを整備しなければいけません。

エンタープライズ・チャットプラットフォーム

エンタープライズ・チャットプラットフォームとは、チャットをインターフェースとした企業向けのサービスです。

たとえば、エンジニアを中心に高い人気を誇るSlack Technologiesの「Slack」、アトラシアンの「Stride」など多くの企業向けサービスが登場しています。テキストベースのチャット機能やファイル共有、製品によってはビデオ通話、パソコンのデスクトップ共有などオフィスで必要なる機能をもっていて便利です。

エンタープライズ・チャットプラットフォームを外部から支える重要な技術が「iPaas(Integration Platform as a Service)」です。

iPaaSとは、業務プロセスを定義、自動化するクラウドサービスです。主に大企業の基幹システムとクラウドサービスをつなぐ用途でしたが、エンタープライズ・チャットプラットフォームでの利用を重視した機能を持つベンダーが登場してきています。

エンタープライズ・チャットプラットフォームの課題

エンタープライズ・チャットプラットフォームは、すでに導入されているツールやサービスとの置き換えの見極めが課題となります。

大企業では当面はeメールと共存させつつ、情報共有ツールとしての利用からスタートすることになっています。また、IBMがSlackの大企業版であるEnterprise Gridの導入で試みたように、部門や組織ごとに段階的にサービスを広げていく手法がとられていくでしょう。

VR(仮想現実)・AR(拡張現実)

VRヘッドセットは「VR元年」と呼ばれた2016年を経て、2017年も売れ行きを伸ばすと思われていましたが、市場の期待とは裏腹に売れ行きは伸び悩みました。

理由は、単体で10万円前後、コンテンツを実行するPCも含めるとトータルで最低でも20万円程度になり、価格が高価である点とハイエンド製品ではPCとVRヘッドセットをつなぐケーブルが必要になる点が欠点となっています。

一方のARは、アップルがiPhone・iPad向けの最新OS「iOS11」の新機能としてARプラットフォーム「ARKit」をリリース。グーグルも2017年8月末に「ARCore」というARフレームワークを発表するなど、大きな進展がありました。

VRはゲームや旅行の疑似体験といったエンターテイメント、臨場感を伴った教育、製品のシミュレーションなどに用いられることが多く、自動車や不動産などの高額商品の販売現場での活用が進んでいます。

これは、高額商品であれば、商品のVRモデルや3D画像の作成などのコンテンツ作成に多くの時間と費用をかけても回収が見込めるからです。

一方のARは、作業をしつつ、マニュアルの確認や指示内容の参照が可能となるため、工場や医療現場などのように両手がふさがることの多い作業現場での活用が有望視されています。

VR(仮想現実)・AR(拡張現実)の課題

VRが普及していくためには、PCとVRヘッドセットをつなぐケーブルをなくすことが1つの鍵となります。

フェイスブックやHTC、グーグルなどのVRヘッドセットメーカーは、2017年末時点でスマートフォンもPCも不要な一体型VRヘッドセットのリリースを予定しており、価格次第ではありますが、ケーブル不要という大きなメリットがある一体型VRヘッドセットが今後の主流になる可能性があります。

現時点でのVRは、人間の五感のうち、主に「視覚」と「聴覚」を刺激することによって、仮想空間における没入感を高めています。

将来的には、五感すべてへの対応を目指しており、仮想空間に存在する物体に触れた感触をユーザーにフィードバックする「触覚」と、コンテンツと連動して匂いを出す「嗅覚」が視覚、聴覚の次と目されているのです。

今後、画像認識技術の性能向上などによって、VRとARの境界は次第にあいまいになっていき、リアリティの高い仮想イメージと現実世界とが深く結びつくことによって、現実と仮想が融合する「MR」と呼ばれる技術へ向かっていきます。

量子コンピュータ

量子コンピュータは、量子力学の原理を利用したコンピュータです。従来のコンピュータは、情報を「0」か「1」のどちらかの値をとる「ビット」で処理するものでしたが、量子コンピュータは「0であると同時に1」という「重ね合わせ」の特徴を持つ「量子ビット」を利用します。

この特徴を利用することによって、膨大な数の古典コンピュータを同時に動かすのと同等の成果が得られます。現在の量子コンピュータブームは、カナダのD-Waveシステムズが商用化したコンピュータによるところが大きいです。

量子コンピューティングが実用化し、現行のスーパーコンピュータでも解くことができない問題を扱えるようになれば、世界規模の課題を解決することや新薬の発見などの研究にも役立てることができます。

量子コンピュータの課題

量子コンピュータがその能力を発揮するには、量子アルゴリズムの開発が不可欠です。従来型コンピュータで分子シミュレーションを行う場合のアルゴリズムを、現在使用できる現実的な量子コンピュータにそのまま適用すると計算の効率は悪くなります。

量子ビット数や量子演算回数といった条件に合わせてアルゴリズムを効率化する必要が出てくるのです。

現時点では、量子コンピュータで高価を発揮するアルゴリズムは、因数分解や検索アルゴリズムなど数えるしかありません。新薬の発見や新材料の発掘における量子シミュレーションの実用に向け、効率的な量子アルゴリズムの開発が求められていくでしょう。

まとめ

この記事では、2018年に登場した情報通信技術について解説しました。

これらの情報通信技術は、ビジネスや働き方を大きく変えていきますが、まだまだ課題があるのが現実です。しかし、今後も急成長して普及していく技術に間違いはありません。後半の記事では、2025年までどのような情報通信技術がトレンドになっていくのかを解説します。

この記事の要点を掴んだ方は、ぜひ後半の2025年までの情報通信技術のトレンドについてもご覧になられてください。