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[後編]2025年の情報通信技術のトレンドはこう来る!?2019年までの総括/今後の重要技術7選

今後5年間で重要性が拡大していくと考えるITトレンドのうち、「XAIへの要請」「RPAからIPAへの進化」「AIOps」「DX技術の民主化」「チャイナITの進展」「キャッシュレス決済」「レジ無し店舗」の7つの重要技術を紹介します。

1.XAI(説明可能なAI)への要請

AIの技術開発が加速し、医療や自動運転など人間の生死にかかわる分野で利用されるようになるにつれ、いわゆる「AIのブラックボックス問題」に対して、解決を求める声が高まっています。

これは、主にディープラーニングを用いたAIがどんな根拠で、その判断に至ったのかを開発者であっても論理的に説明できないという問題です。AIで下された判断が重要であればあるほど、その根拠の説明が必要になります。

現在のAIの進展に大きく貢献しているディープラーニングは「人間が特微量を抽出する必要がない」とされるほど、学習の過程でデータの特徴を学習するのが得意という特性があります。しかし、逆にどんな特徴を抽出するかはネットワーク任せと言えるのです。

この問題の解決に向けては、現在、XAI(Explainable AI=説明可能なAI)というテーマで、AIの研究開発にかかわるITベンダーや大学、研究機関の間で議論や研究が盛んに行われています。どのような入力に強く反応するかを調べることになどによって、ディープラーニングのような複雑なモデルを説明しようとする研究です。

GFPR(EU一般データ保護規則)では、消費者の「説明を求める権利」を規定しています。

これは、企業がアルゴリズムによる自動意思決定によって、与信審査を行った場合、個人はその判断について説明を求め、反対する権利を有することを意味しています。つまり、AIなどを用いて与信審査を行った場合、企業はその説明責任を負うことになり、ここでもXAIが求められるのです。

2.IPA(インテリジェント・プロセス・オートメーション)

RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)は、2016年から2017年にかけて急激に導入機運が高まり、大手都市銀行の他、地方銀行や生命保険会社、証券会社などの金融機関中心に導入が進み「数千時間分の事務処理作業削減」など多大な導入効果が報告されてきました。

原状のRPAが対象としているのは、数値などの構造化データを扱う単純なルーティン業務であり、RPAはあらかじめ決められたルールに基づいて処理を実行しているにすぎません。

このため、都度、人による判断や意思決定が必要になるビジネスプロスや、頻繁に変更が発生するようなアプリケーションには適用できません。

これが、不満の主な原因です。

RPAの適用領域を拡大し、企業のさらなる業務効率化に寄与するために、最近では、プロセスマイニングやOCR、自然言語処理技術との連携、さらには機械学習などの実装を開始しています。

ボトルネックとなっているプロセスを特定し、改善のための施策を推奨したり、ロボットを自動修正したりするなど、RPAはインテリジェントな頭脳を有するIPA(Intelligent Process Automation)へと進化していくのです。

AI-OCRや機械学習などを取り込み、IPAへと進化するRPAは、人間が介在することなく、自ら判断・意思決定をして作業を進めることが可能になるため、導入企業はさらなる業務効率化ができると期待されています。

3.AIOps(AIとDevOpsの融合)

AIの活用は複雑化が進み、人手によるオペレーションが困難になりつつあるシステムの運用監視業務にも活用されるようになります。これが「AIOps」です。

AIOpsとは、OS・ハードウェア・サーバーソフトウェア・アプリケーションソフトウェアなどのシステムから生成されるイベントやログ・メトリクス・アラートなどのシステム運用に関連する膨大なデータの分析に機械学習などのAIを活用することによって、運用監視業務の効率化を実現化するものです。

AIOpsツールを活用すれば、収集したデータやメトリクスをもとに、AIOpsの推論エンジンがイベントやアラートを集約、さらにアプリケーションやインフラといったシステム環境全体を網羅し、環境環境や複数アプリケーション間の相関関係を分析してくれます。

万が一、インシデントが発生した場合は、その際のログ情報を分析し、根本的な原因を突き止めて、解決策を見つけてくれて便利です。その後は、リアルタイムに生成されるログ情報と自動で相関させることで、インシデントが発生する前にその予兆を検知できるようになります。

将来的には分析だけではなく、分析結果をもとに自動で解決策の実行まで行えるようになり「セルフ・ヒーリング」が実現できるようになります。

4.DX技術の民主化

DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組もうとしても人材不足のため進まないというのが実情です。

しかし、最近では、ベンダー各社から専門知識がなくても、デジタル技術の利用ができるサービスが提供されつつあり、DX技術の民主化が進んでいます。

たとえば、グーグルが2018年1月に発表した「Cloud AutoML」は、機械学習の専門知識を持たない企業であっても、データがあれば、画像認識や自然言語処理、翻訳などが可能な自社独自の機械学習モデルの構築ができるサービスです。

またAWS(Amazon Web Services)が2018年5月から一般提供を開始した「Amazon Sumerian」は、特別なプログラミングや3Dグラフィックスの専門知識を必要とすることなく、VR・ARや3Dアプリケーションの作成や実行を簡単に行えるウェブベースのVR・AR開発ツールです。

グーグルやAWSは従来のITベンダーのように、営業担当が積極的に売り込んでくるわけではありません。このため、DX時代に競争劣位に陥らないためには、アンテナを高く張り、継続的に情報収集を行う努力を怠ってはいけません。

5.チャイナITの進展

中国のITの進展が目覚ましいです。中でもアリババ・テンセント・百度は「BAT」と呼ばれる中国の3強です。

アリババはeコマースサイト「Tmall」、テンセントはSNS「WeChat」、百度は検索エンジンというように、各社のサービスは中国国内では圧倒的なシェアを誇っています。これまでは、米国のグーグルやヤフーなどのサービスを模倣したサービスが多かったですが、本家のサービスをはるかに上回る規模に成長するようなケースも出てきています。

技術研究でも中国は急速に進展しています。2017年には、中国のAIベンチャーへの投資額が米国を抜いて世界トップになるなど、中国が世界一のAI大国に躍り出る日もそう遠くないと注目されています。

すでに流通・小売業界では、アリババグループが出資し「アマゾンの先を行く」と評価されるほど革新的な店舗を運営している「ヘマーセンシェン」などが登場しています。また、2018年10月には「スマートレストラン」がオープンして注目を集めていて、チャイナITには目が離せない現状です。

6.キャッシュレス経済

QRコード決済事業への参入が相次いでいるのは、経済産業省が2018年4月に公表した「キャッシュレス・ビジョン」が大きく影響しています。

同省は、キャッシュレス経済の推進が「実店舗の無人化省力化・不透明な現金資産の見える化・流動性の向上・不透明な現金流通の抑止による税収工場につながると共に、さらには支払データの利活用による消費の利便性の向上や消費の活性化等」国力強化につながる様々なメリットが期待されます。

2015年時点で18.4%に過ぎないキャッシュレス決済比率を、2025年までに40%程度にまで引き上げることを目指すと「支払い改革宣言」を発表しています。さらには、将来的には世界最高水準の80%の水準を目指すと合わせて宣言。今後のキャッシュレス経済の普及率には目が離せません。

量子コンピュータの課題

小売業界では、キャッシュレス経済だけではなく、Amazon Goに代表されるレジなし店舗への対応も迫られるようになります。

アマゾンのお膝元である米国のシアトルに続き、シカゴ、サンフランシスコにもオープンしたAmazon Goは、2019年に50店舗、2020年~2021年には3000店舗まで拡大するという報道もあります。

Amazon Goを利用するには、あらかじめアプリをインストールし、クレジットカードやメールアドレスの登録などを済ませておく必要があります。

入店時には電車の改札口のようなゲートでスマホアプリのQRコードをスキャン。店舗に入ると天井に隙間なく取り付けられている数百台のカメラを利用したAIによる画像認識ち、棚に取り付けられたセンサーによって、どの商品を棚から取り出したのかが記録されます。

このため、レジでお金を払うことなく店舗を出ることができるのです。そして、店舗を出た後に登録したメールアドレス宛にレシートが送られてくるという仕組みとなっています。

日本では、流通・小売業の人材不足が深刻な上に、コンビニでは品出しや在庫確認のほか、宅配便や公共料金の支払などもあり、店員にかかる負荷は高いです。レジ自体はなくならなくても、商品のレジ打ち作業がなくなることは歓迎されるはずです。

導入コストは課題になるものの、画像認識技術の活用によって、レジなし店舗を実現するソリューションは、しばらくの間、大きな注目を集めるに違いありません。

参考記事:アマゾン銀行が誕生する日に世界や日本にもたらす大きな影響

まとめ

この記事では、今後5年の重要技術トレンドを紹介しました。

5年先までの間にビジネスや社会に広く普及しさまざまな影響を及ぼすと考えられるIT技術については感度を高く持って、常に情報収集するようにすると、今後のビジネスに活かせること間違いありません。ぜひ、常時アップデートをしてください。