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3大メガバンクに匹敵する銀行の誕生!SBIが手掛ける第4のメガバンク

SBIが手掛ける第4のメガバンクとは

出典:フィンサム2019公式

2019年9月の「フィンサム2019」の講演で、北尾社長は国内外の様々なフィンテックを活用し、地域金融機関と「第4のメガバンク」構想を実現していくと述べました。どのような構想なのか、具体的に見ていきましょう。

地方金融機関とSBIが共同運営する新銀行

第4のメガバンクの持株会社は、SBIが過半を出資しますが、有力な地方銀行や大手銀行、ベンチャーキャピタルにも出資を募ります。SBI の構想では、支援先の地銀を対象にシステムなどのインフラや資産運用商品のサービスを提供したり、人材育成を支援したりします。

3大メガバンクに匹敵する銀行の創出が目標

北尾氏が現在推進しているのが、「地方金融機関の全国展開」です。SBI グループほか、有力地銀やベンチャーキャピタルなどが出資する共同持株会社を設立し、ここが主体になって地域金融機関への投資を行います。

地方金融機関の一体的事業展開を促し、三大メガバンクに匹敵する銀行の創出を目標とするのが「第4のメガバンク」構想なのです。

SBIが手掛ける第4のメガバンクの特徴

地方銀行に向けたAPI基盤を設立

第4のメガバンク構想に向けての課題のひとつが、システム運用コストの高止まりと、定期的なシステム更新に伴うコストです。北尾氏はシステムを固定費にせず、変動費にすることが重要だとし、プライベートクラウドの整備が必要だと述べました。

また店舗や人を合理化してシステムも共有化。地域金融機関はテクノロジーを使って変えられると語っています。店舗や人材の配置を見直し、SBIの持つデジタル技術提供を探っているのです。

SBIの海外拠点を使用して海外投融資を実現

SBIと新たに協力する企業や国内外の金融機関を地方銀行に紹介し、新たな融資先とすることで収益源を増やします。地方の金融機関が日本全国に展開するだけでなく、これまで考えていなかった海外での投融資が第4のメガバンクによって実現する可能性があるのです。

SBIホールディングスの人脈や海外拠点も活かし、ネオバンクを目指していきます。銀行が行う事務業務のプロセスは、すべての銀行で共通です。一つの銀行ごとにシステムを提供していると、同じシステムがいくつもできてしまうので、合理的ではありません。

複数の地方銀行をまとめた持株会社を設立し、預金額や顧客数をメガバンク並にすることを考えているのです。共通システムの構築や業務効率化ができるITソリューションの提供は SBI が行います。

すでに地方銀行では、複数の銀行間で利用する「共同利用システム」を使うことでITコストの削減に努めています。八十二銀行が立ち上げた「じゅうだん会」や、千葉銀行が立ち上げた「TSUBASAアライアンス」によるシステム共同利用が進められているのです。

しかし日銀の金融システムレポートでは、システムの共同利用を行う銀行が複数あっても、コスト削減以上に収益が伸び悩んでいるのが現実です。

SBIのネオバンク構想では、システムの共有だけでなく、新しい収益源の提供も目指しています。

フィンテック技術を採用して手数料無料化を実現

第4のメガバンクのテーマとして、「SBI グループにおけるFintech(フィンテック)技術を活用した次世代金融機関の創造」があります。証券業の今後を考える上で、北尾氏は「ネオ証券」を提唱しています。

ネオ証券とは、売買手数料などの投資家が負担する手数料などを無料化することです。無謀な取り組みに見えますが、アメリカの新興証券会社であるロビンフッドがすでに行っています。

ロビンフッドの証券売買手数料は無料で、収益源は月額制のプレミアムプランの会費です。SBI グループでは、PTS取引やダークプール取引など取引の多様化によって手数料を下げることを目指しています。

PTSとは私設取引システムのことで、東京証券取引所が開いていない夜間にも株式の取引が行えます。ダークプール取引は、取引所を介さずに投資家の注文を付け合わせるサービスです。

また、SBIグループは2019年4月に「SBIネオモバイル証券」を開業させました。条件付きながら、月額200円で取引放題のサービスを展開しています。スマホに特化して若年世代を惹きつけ、今後は仮想通貨サービスも始めるなど、グループのシナジー効果を活かしていく考えです。

第4のメガバンクの狙い

1.若者層の顧客を獲得する

証券業と同じように、銀行業でも「ネオバンク」を目指しています。世界的にみても銀行の経営環境は年々厳しくなってきており、米国では若者たちが銀行へ行かなくなっているという現状があるからです。

融資の世界でも、アマゾンが「アマゾンレンディング」を立ち上げるなど異業種が参入してきています。フィンテックの発達と異業種参入により、銀行業務は分解が進んでいるとSBIホールディングの北尾社長は述べています。

2019年4月にSBIネオモバイル証券を立ち上げましたが、これは20~30代の若年層を開拓するためです。そして、スマートフォンですべての金融ビジネスを行う状況をつくろうとしています。

証券だけでなく、暗号資産(仮想通貨)、FX(外国証拠金取引)など若い人が主体の取引に取り組んでいます。

ネオ証券やネオバンクといった新しい形態で、若年層の獲得を目指しているのです。

2.フィンテック技術の開発費を負担しあう

日本銀行のレポートでは、海外や大手の銀行と比べて、地方銀行のほうが「非資金利益比率」が低いと報告しています。非資金利益とは、投資信託の販売やファンドを組成したときに受け取る手数料収入などです。

一方、資金利益は、お金の貸し出しによる利息収入。金利が高いほど多くなりますが、低金利が続く日本では貸し出しを増やさないと利息収入を得ることができません。貸すための資本として預金を集めなくてはいけませんが、人口減少が続く地方では非効率です。

したがって、銀行の利益を増やすためには、非資金利益を増やす必要があります。非資金利益を増やすためには、ビジネスモデルの転換が必要なので、ITシステムやフィンテックなど新しい商品やサービスの開発も大切です。

しかし、収益が伸び悩んでいる現状では、新たに投資する意欲は湧きづらいでしょう。しかし、SBIが提供するシステムを利用すれば、ITシステムの運用コストだけでなく、初期調達コストも削減できるのです。

3.メガバンクに対抗し地域活性化を狙う

SBIは地域金融機関の活性化を通じて、国が進める「地方創生」への貢献を考えています。主に次の3つのフェーズを想定しています。

フェーズ1

SBIグループの既存の商品やサービスを通じて、地域金融機関の企業価値向上に貢献。

たとえば、SBIは地域金融機関と連携し、iDeCo(イデコ)の拡販を推進しています。iDeCoは申込書類の受付業務が複雑であったり、運営管理費用の負担がかかったりするため、iDeCo分野からの撤退を考えている地域金融機関が増えています。

そこで、iDeCoの累計加入客数が業界トップであるSBI証券が、運用商品の選定から情報提供までをサポートすることで、顧客満足度を高めることを目指しているのです。

フェーズ2

新設したSBIネオファイナンシャルサービシーズを中心に、新たなテクノロジーを活用した地域金融機関のビジナスモデル再構築を支援します。

たとえば、日本全国の事業承継をサポートするため、ファンド運営会社として「SBI地域事業承継投資」を設立し、事業承継ファンドの募集を開始しました。

主な内容は、次の通りです。

⦁ 地域に限定されず、日本全国の中堅企業を対象に事業承継をサポート
⦁ SBIグループ、SBIのネットワークを活用したさまざまな企業価値の向上支援
⦁ 投資先企業同士の地域を超えた連携・統合を支援
⦁ SBI地域事業承継ファンドが投資先の経営権を取得することも想定

また,JV(合弁企業)設立や業務提携を通じて、国内外の先進的なテクノロジーを利用したソリューションを提供します。具体例を見てみましょう。

⦁ フィンテックSaaSプラットフォーム
金融機関向けのスマートフォンアプリケーション、AIチャットボット、リスク判定ツールなどを提供

⦁ 住宅ローンプラットフォーム
住宅ローンなどの申込受付・審査・貸出までのプロセスの大部分を自動化するオンラインプラットフォーム

⦁ キーボードバンキング
独自のキーボードアプリを利用し、メッセンジャーサービスのプラット上でのシームレス(継ぎ目のない)な決済機能を提供

フェーズ3

地域金融機関の全国展開に向けてSBIグループが全面支援。共同持ち株会社を設立して、共通システムの開発やフィンテック技術の共同導入など、地域金融機関と一体的に運営する体制を構築する。

SBI証券が業務提携する35行一覧表

SBIは地域金融機関との連携を拡大してきました。2017年の清水銀行をはじめ、2019年9月時点で以下のような35の地銀や信用金庫と金融商品仲介業で提携しています。地域金融機関は、SBI証券のネット口座に接続できます。

 

出典:2020年3月期 第1四半期 SBIホールディングス株式会社 決算説明会

また、SBIと地銀の社員が常駐し、資産運用の相談に応じる共同店舗も増やしています。2019年9月に京葉銀行の本店に開く「マネープラザ」で7店舗目です。金融商品仲介業サービスを通じた口座数と預かり資産の推移は以下の通りです。

まとめ

SBIの「第4のメガバンク」構想は、人口減や低金利で収益低下に悩む地銀の経営基盤強化に向けた取り組みとして注目されています。これまでの地銀の経営強化策は、規模拡大のための隣接地銀同士が多かったものの、時間やコストがかかるという問題がありました。

SBIの構想は、資金運用やシステムの共通化を柱に大幅な経費削減と収益向上が見込めます。2019年9月現在、SBIは地域金融機関35社と提携していますが、島根銀行や福島銀行の2行が「第4のメガバンク」構想への参加を決めています。注目度が高いので、参加を表明する地域金融機関は、今後も増えることが予想されます。