
フィンテック革命は金融機関の脅威ともなっています。そして、躍進が止まらないフィンテック企業が多く登場しました。この記事では、ウェルスナビやマネーフォワードなどの成功企業の事業内容をご紹介します。どのようなフィンテックサービスがあるかの参考にしてみてください。
目次
フィンテックの成功事例①:ウェルスナビ

「働いている人が豊かさを感じられる社会をつくる」をミッションに、一人ひとりにとって最適な自動資産運用を提供している会社です。2016年10月にSBIグループとの資本業務提携を発表しました。SBI証券および住信SBIネット銀行の顧客へ向けたサービスを提供中です。
サービス内容:ロボアドバイザー
ウェルスナビのように、コンピュータが自動で資産運用を行うサービスは、「ロボアドバイザー」と呼ばれ、米国では若い世代を中心に急速に普及しています。SBIグループでは、ロボアドバイザーの可能性にかねてから着目してきたそうです。国内外のロボアドバイザーの中から、ウェルスナビとの業務提携を選択した理由は、サービスの徹底的な客観性と透明性、そして技術力があったからです。
すべてのプロセスを自動化しているロボアドバイザーは、国内ではウェルスナビだけであり、社員の過半数をエンジニアが占める高い技術力が評価されているのです。証券取引システムをAWS(アマゾンウェブサービス)上に構築したことも日本発の試みです。
また、日本で初めて資産運用のアルゴリズムを公開し、第三者による検証を可能にしています。さらに、ポートフォリオを構成する上場投資信託を選択する際にも、純資産総額の規模や流動性経費率などの客観的な基準で最適な銘柄を選択しており、フィデューシャリー・デューティを徹底しています。
銀証ロボアドバイザーのモデル全国へ
2016年10月、ウェルスナビはSBI証券および住信SBIネット銀行と業務提携し、銀行・証券・ロボアドバイザーが一体となった新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいます。SBI証券や住信SBIネット銀行の顧客は、口座間連携により、そのままウェルスナビを利用でき、預金、外貨預金、株式、投資信託などに加えてロボアドバイザーで運用する金融資産を一元敵に管理できるようになります。スマートフォン用アプリとの連携も進めていく予定です。
米国と異なり、預金が金融資産の中核を占める日本においては、銀行・証券・ロボアドバイザーが一体となった「銀証ロボアドバイザー」モデルを先駆けて実現し、地域金融機関における同様のモデルの実現をサポートしていきます。
フィンテックの成功事例②:マネーフォワード

「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションのもと、自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」とビジネス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」の2事業を展開しています。
サービス内容:自動家計簿
個人向けに、自動家計簿・資産管理サービスの「マネーフォワード」を展開しています。銀行・クレジットカード・証券・電子マネー・通販などの2,600社以上の金融関連サービスの利用履歴・残高を取得して、自動で家計簿を作成。連携した口座から自動でデータを取得、分類、グラフ化しているのが特徴で、利用者はレシートを撮影するだけで、項目や店舗名が家計簿へは反映できます。
サービス内容:ビジネス向けのクラウドサービス
個人事業主・法人向けに、ビジネス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」を月額や年額課金制で提供しています。「MFクラウド会計」は、3,600社以上の金融関連サービスから取引明細を自動取得し、経理業務に必要な仕訳を自動化できるサービスで、経理業務を効率化し、生産性を向上できるクラウド型会計ソフトです。
さらに、会計帳簿や売上・費用のグラフを自動作成することができます。スマートフォンアプリを利用することで、いつでもどこでもリアルタイムに経営状況が把握できます。
Open Bank APIプロジェクトの推進
銀行が保有している顧客の資産残高情報や入出金履歴情報を、銀行と顧客の同意のもとに、インターネットバンキングのログインIDパスワードを銀行外サービスに預けることなく、銀行外のサービスで利用できるようにする仕組みです。
これにより、ユーザーは、低コストで、正確かつセキュアなデータ活用が標準化されるだけでなく、銀行自身もフィンテックサービスのプラットフォームになることができます。このような取り組みは、海外でも数行しか事例がなく、世界的に見ても先進的な取り組みです。
フィンテックの成功事例③:ミュージックセキュリティーズ

事業者と個人をつなぎ、お金と仲間を集める投資型クラウドファンディングプラットフォーム「セキュリテ」の運営を行っています。金融機関および自治体と定期し、これまでに募集総額60億円以上のファンド実績がある会社です。
サービス内容:投資型クラウドファンディング
事業者が特定の事業を行う際の資金を、インターネットを通じて個人投資家から集め、その投資対象事業の売上から一定割合を投資家に分配していく、金融商品取り扱いに則った新しい金融システムです。
事業者視点では、新しい資金調達手段となり、投資家視点では新しい投資先になります。金融庁に登録する第二種金融商品取引業者として、両者をインターネットを通じて仲介するという事業モデル。セキュリテは、単にサービスの名称だけではなく、決済・投資家管理・投資家ごとのマイページによる資金管理・IRシステム・メルマガ&ブログシステム・デューデリジェンス・ツールなどを統合したWeb上の投資プラットフォームです。投資化と事業者の双方から手数料を得て、事業を運営しています。
日本から海外への資金供給
ミュージックセキュリティーズの注力ポイントは、海外展開です。現在、ミュージックセキュリティーズでは、海外の投資家が海外の事業へ投資できるファンドを数多く組成しています。
日本の個人金融資産に対する直接投資の期待は各国で高まっており、これらの取り組みで、日本からの資金を供給する事業モデルを確立しました。日本的な匿名組合を活用したモデルをもとに、日本以外の国でも、その国の投資家が、その国の事業に投資できるような仕組みを展開したいと考えています。海外展開においては、現在パートナーと合弁会社を設立し、その海外の投資家から日本の事業にも投資してもらえるようなクロスボーダーなシステムを構築していきます。
フィンテック企業④:SBI Ripple Asia

ブロックチェーン技術を活用した次世代決済基盤をアジア地域で展開。SBIホールディングスと米国Rippleの合弁企業として設立。内外為替一元化コンソーシアムを2016年10月に発足しているフィンテック企業です。
サービス内容:デジタルアセット
Rippleは、XRPと呼ばれる仮想通貨を事業の出発点としていますが、現在では、XRPの他に「銀行間での国際決済」をビジネスの中心に置いています。国際決済においては、仮想通貨を用いる必要はありません。
銀行間決済においては、従来はXRPの基盤技術でもあるRipple Consensus Ledgerを用いていましたが、現在では「インターレッジャー」というコンセプトのもと「レッジャー(台帳)」間をつなぐ、決済システムを提供しています。
インターレッジャーは、必ずしも銀行システム間に限らず、仮想通貨間やペイパル・アリペイなどのe-wallet間の決済に注力しています。ビジネスモデルとしては、金融機関向けのソフトウェアエアライセンス収入を主としています。
外国為替・内国為替を効率化する仕組み
Rippleは、もともと外国為替を効率化する仕組みであり、2016年5月に合弁会社を設立した際には、日本においても外為を中心にしたビジネス展開をする予定でした。しかしながら、実際に金融機関との対話を重ねる中で、内国為替に使用できないかという問い合わせがあったことが設立のきっかけとなっています。
内国為替の課題は、日本だけではなくアジア各地に存在すると考えます。とりわけ、ミャンマーなどの新興国においては、金融インフラの末整備が、経済発展のボトルネックになっているケースも見られます。そのため、日本を含むアジア全域で、最先端の金融ソリューションの選択肢を提供し、健全な市場形成に貢献していくことは、やりがいのある挑戦だと感じています。
フィンテック企業⑤:ゼネリックソリューション

ビッグデータを活用したい企業向けにデータマイニングのソフトウェアとサービスを提供しているフィンテック企業です。他社のBI/BAツールやレコメンデーションツールとは異なり、データに対する顧客個人単位での分析・活用を自動化できる点が大きな特徴です。
サービス内容:AI×ビッグデータ
ゼネリックソリューションが提供しているソリューションは、高い顧客価値を体験してもらうこと、採用しやすい提供方法、成果に対するコミットメントに強いこだわりを持っています。
アナリティクス事業では、顧客の要求や期待に個別に対応するため、まずはコンサルテーションを通じて、具体的なソリューションの自動化を提案。その成果をもとに、ソリューション事業では、ビッグデータを活用したい顧客のために、利益に結び付く目標を設定し、共に達成するためのデータマイニングや機械学習のソフトウェアとサービスを提供します。データに対する顧客個人単位での分析・活用を自動化可能で、さらにデータ活用の成果が確認できるのです。
まとめ
この記事では、フィンテック革命を起こそうとしているフィンテック企業をご紹介しました。各金融機関は、これらの企業のフィンテック革命の打撃を受けることになるため、これまでのインターネット革命とは比較にならないほどのインパクトがあるという認識を持たなければいけなくなるでしょう。
早急に変われない金融機関からは、どんどん顧客が離れていき、既存の金融秩序は短期間で破壊されていくことになります。そのため、各フィンテック企業の今後の動向について、ビジネス感度の高い方は、こまめに確認をしておきましょう。