みずほ銀と富士通、経理業務の効率化に向けた実証実験を開始

みずほ銀行と富士通は8月12日、電子請求(EIPP)と金融EDIを活用した「請求支払業務電子化・売掛金消込自動化サービス」の実用化に向けて、実証実験を開始すると発表した。

企業間の商取引の請求や支払業務に電子請求(EIPP)と金融EDIを導入することで、請求から支払・入金までの一連の取引を全て電子化し、企業における売掛金消込の自動化を図る。

本年10月までにパイロットシステムを構築し、富士通と富士通グループ各社間の取引において、来年3月まで実証実験を行う。

企業間取引における支払請求・売掛金の消込作業の効率化については、2014年から2015年に開催された金融庁の金融審議会「決済業務等の高度化SG・WG」においても主要な議題として議論された。

その結果、企業間の国内送金指図で使用する電文方式について、2020年までに、現「固定長電文」を廃止し、情報量や情報の互換性などに優れた「XML電文」に移行することが提言され、現在、全銀協において2018年頃に「金融・ITネットワークシステム(仮称)」という新システムを構築することが検討されている。

中央システムだけでなく、今回のような金融機関・企業間における具体的なサービスの実証実験が開始されたことで、電子請求(EIPP)や金融EDI導入に向けた動きがより一層活発になりそうだ。

以下に、みずほ銀行のニュースリリースを引用する。

みずほ銀行と富士通、請求支払業務電子化・売掛金消込自動化サービス提供に向けた実証実験を開始
~企業の経理業務を大幅に効率化するFinTechの取り組み~

株式会社みずほ銀行
富士通株式会社
2016年8月12日

株式会社みずほ銀行(頭取:林信秀、以下「みずほ銀行」)と富士通株式会社(代表取締役社長:田中達也、以下「富士通」)は、本年7月29日に締結した「請求支払業務電子化・売掛金消込自動化サービス検討に関する基本協定」に基づき、電子請求(EIPP)(注1)と金融EDI(注2)を活用した請求支払業務電子化・売掛金消込自動化サービスの提供を展望した実証実験を開始します。

【背景】
昨今、金融とITの融合を意味する「FinTech」の動きが国内外にて加速しています。中でも、決済電文(振込データ)に商取引に関わる情報を付帯して交換・共有する「金融EDI」の活用は、取引の自動化・効率化などのさまざまな効果が期待されています。

そのような中、金融界・産業界にて検討が進められている「企業間送金のXML電文への移行」(注3)との連携を視野に入れ、下図のようなサービス提供の実現に向けたパイロットシステムの構築と、効果を検証する取り組みを開始します。

【本件概要】
1.目的
商取引の請求や支払業務にEIPP・金融EDIを導入することで、請求から支払・入金までの一連の取引を全て電子化し、企業における売掛金消込自動化の飛躍的な向上を目的とします。

2.期間
パイロットシステム構築:2016年7月~2016年10月(予定)
効果検証:2016年11月~2017年3月(予定)

※富士通および富士通グループ各社間の取引で実証を予定

3.内容
本実証実験では、以下の項目への有効性の検証と事業化の可能性を検討します。
・業務最適化、コスト削減
・内部統制高度化、決算早期化

【今後の展開】
・ICT技術などを活用し、利便性の高いサービスや新たなビジネスの創出に努め、今回の実証実験を通じて、企業の経理業務の効率化につながる先進的な決済サービスの開発に取り組んでいきます。

・金融界・産業界にて検討が進められている「企業間送金のXML電文への移行」に対応するサービスの提供を目指していきます。
・企業の間接部門生産性向上、債権管理業務のBPO化も視野に入れた共通環境の構築・検証を行っていきます。

【注釈】
(注1)EIPP:ElectronicInvoicePresentmentandPaymentの略称。電子請求書発行・決済のこと。
(注2)EDI:ElectronicDataInterchangeの略称。商取引に関する情報を標準的な形式に統一し、企業間で電子的に交換する仕組み。
(注3)XML電文への移行:
2015年12月、金融庁・金融審議会より、企業間の国内送金指図で使用する電文方式について、2020年までに、現「固定長電文」を廃止し、情報量や情報の互換性などに優れた「XML電文」に移行することが提言されております。詳細については、金融審議会「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ報告」をご参照下さい。
(http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20151222‐2.html)

以上

(以下、省略)

 

(参照)みずほ銀行のニュースリリース

http://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20160812release_jp.pdf