世界経済フォーラム、ブロックチェーンに関するレポートを公開

非営利の国際機関、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)は8月12日、金融分野におけるブロックチェーン技術とデジタル認証の可能性に関するレポートを公開した。

今回公開されたレポートは、「An ambitious look at how blockchain can reshape financial services(ブロックチェーンがどのように金融サービスを変革するか)」と題されたブロックチェーン(分散台帳)技術に関するレポートと、「A blueprint for digital identity(デジタル認証の設計図)」と題されたデジタル認証サービスに関するレポートの2つ。

これら2つのレポートは、2015年にWEFが発行したレポート「The Future of Financial Services(金融サービスの未来)」の続編として、金融サービスを大きく変革する可能性を有する2つの技術(ブロックチェーン、デジタル認証)に焦点を当てる形で作成された。

まず1つ目のブロックチェーン技術に関するレポートでは、大きく6つの結論を提示している。例えば、ブロックチェーン技術が、金融サービスにシンプルさと効率性をもたらす大きな可能性を秘めているとした一方で、「ブロックチェーン技術は万能薬ではない」とし、クラウド技術や人工知能技術などのほかのテクノロジーの1つとして捉えるべきとしている。

また、ブロックチェーン技術を使った金融サービスの例としては、様々なユースケースが考えられるとしており、レポート上では貿易金融、グローバルペイメント、損害保険、証券バックオフィス業務などの9つの事例を具体的に記載している。

次に2つ目のデジタル認証サービスに関するレポートでは、現在、FinTechや金融機関のサービスにおいて「本人認証」がクリティカルな制約になっているとの問題意識の下で、金融機関が同サービスをどのように提供していくべきかを記載している。

特に金融機関は現在、信頼性の高いデジタル認証サービスを提供するのに最適なポジションにおり、その導入を金融機関は率先して主導していくべきとしている。

いずれのレポートも100ページを超えるボリュームで、事例や図が豊富で理解しやすい構成。経済産業省の研究会でも取り上げられた前レポート「The Future of Financial Services(金融サービスの未来)」に続いて内容が濃いものとなっている。

全編が英語で記載されているものの、金融IT分野に従事する人々にとって必見のレポートになりそうだ。